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文献詳細

雑誌文献

medicina18巻9号

1981年09月発行

文献概要

今月の主題 ウイルス肝炎のトピックス ウイルス肝炎の予防

抗HBsヒト免疫グロブリン(HBIG)—急性B型肝炎発症に対する予防効果とその限界

著者: 大林明1 坂本久浩2

所属機関: 1東京都立駒込病院・感染症科 2東京都立駒込病院・輸血科

ページ範囲:P.1544 - P.1546

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 かつては医療従事者はHBウイルス(HBV)感染の代表的なhigh risk groupであった.しかし近年,患者血液,供血者血液についてのHBs抗原(HBs-Ag)のチェックや,またとくにhigh riskであった透析室での透析装置の改良による手技の簡略化,ディスポーザブルの器具の使用などから,急性B型肝炎の病院内発生は著しく減少している.とはいうものの,現在でも急性B型肝炎患者のうちで医師,看護婦,検査室技師の占める割合は大きい.
 HBV感染の抜本的な予防には他の伝染性感染症におけると同様,ワクチンが最も効果的であろう.HBVワクチンについては,すでに欧米では不活化HBs-Agでもってのpreliminary studiesが完了しており,安全性と有効性は高く評価されている1,2).わが国でも第1相投与実験がはじめられ,その安全性が確かめられつつある.おそらく数年を経ずして普及するであろう.それまでは従来通り,HBV感染を自覚した人に高力価抗HBs抗体ヒト免疫グロブリン(HBIG)による受身免疫によって発症を阻止する方式でのぞまざるをえない.換言すれば,感染事故のかぎりにおいてはHBIGによる発症予防はワクチン普及までの過渡的な対策である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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