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文献概要
異常値の出るメカニズム・41 酵素検査(1)
血清クレアチンキナーゼ
著者: 玄番昭夫1
所属機関: 1中央鉄道病院・中央臨床検査部
ページ範囲:P.1599 - P.1603
文献購入ページに移動クレアチンキナーゼ(EC 2. 7. 3. 2,CKと省略)は昔からこれをクレアチンホスホキナーゼと呼んできたため,現在でも臨床的にはCKではなくCPKと省略されて使用されていることが多い.
この酵素は,
ADP+クレアチン
(式省略)ADP+クレアチンリン酸
という化学反応を触媒する酵素で,国際生化学連合酵素命名委員会(EC)の主分類2である移転酵素群の1つである.そしてADPとクレアチンリン酸からはじまるこの酵素の逆反応は,古くからローマン反応と呼ばれてきた筋化学史上有名な反応でもある.これからもわかるように,本酵素は筋肉(とくに骨格筋,心)のエネルギー代謝に関与している重要な酵素であるため,図1からみられるように骨格筋中に最も多く含まれ,また心にもきわめて多いという臓器局在性(偏在性)の強い酵素である.そのほか脳,網膜,平滑筋(消化管,膀胱,子宮など)にも含まれるが,それ以外の臓器には痕跡程度しか存在しない.
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