medicina19巻1号

1982年01月発行

今月の主題 内分泌疾患—今日の知識

トピックス

出産後一過性甲状腺機能異常症

著者： 網野信行¹

所属機関： ¹大阪大学医学部付属病院・臨床検査診断学

ページ範囲：P.64 - P.65

文献概要

　従来，出産後の甲状腺機能異常症としては，Sheehan症候群における下垂体性甲状腺機能低下症が教科書的に記載されている．筆者らは最近自己免疫性甲状腺疾患が出産後増悪し，しばしば一過性の甲状腺機能異常を示すことを見出した．最近，これらの変化が（postpartumautoimmune endocrine syndromesと名付けられ，国際的な成書にも記載されつつある^1）．
　これらの異常はSheehan症候群とは比較にならないほど高頻度で発生しており^2），単なる育児ノイローゼとして取り扱われている場合もあり，臨床的に注意しなければならない．以下，筆者らの最近の知見を簡単に述べてみたい．