icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina19巻11号

1982年11月発行

文献概要

今月の主題 高血圧症—今日の知識 成因

昇圧因子—ナトリウム

著者: 伊藤敬一1

所属機関: 1国立循環器病センター・内科

ページ範囲:P.1932 - P.1933

文献購入ページに移動
 原発性アルドステロン症や慢性腎不全のような,腎からのNa排泄能が明らかに障害されている疾患では,過剰のNa摂取が血圧の上昇をきたすことは自明のことである.問題は,腎機能が正常と考えられているいわゆる本態性高血圧症の成因に食塩がどの程度関与しているかであろう.
 最近の成績からは,本態性高血圧といわれるものの大部分は過剰な(50〜60mEq/日以上)Na摂取が原因となっている可能性が示唆されている.その根拠となるのは,第1に食塩摂取量の多い地域ほど高血圧の頻度が高いこと,第2に,現在もなお食塩をほとんど摂らない地球上の地域の人々の血圧は,加齢による血圧の上昇もなく,また高血圧者もほとんどみられないという事実,第3に動物およびヒトにおける実験から高食塩食と血圧上昇の関係が認められていることである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?