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文献詳細

雑誌文献

medicina19巻11号

1982年11月発行

文献概要

今月の主題 高血圧症—今日の知識 成因

昇圧因子—レニン・アンジオテンシン系

著者: 日和田邦男1

所属機関: 1愛媛大学医学部・第2内科

ページ範囲:P.1938 - P.1940

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 レニン・アンジオテンシン系(以下R-A系)は生体における血圧と体液・電解質の重要な調節機構である(図1).R-A系が異常に活性化された病態の中で高血圧を呈する疾患には腎血管性高血圧や悪性高血圧があり,稀な例ではあるがレニン産生腫瘍(傍糸球体細胞のhemangiopericytomaあるいは小児のWilms腫瘍)がある.しかしR-A系が著しく活性化されていても,必ずしも高血圧を呈するとは限らない.このよい例がBartter症候群である.
 血中レニン活性やアンジオテンシン(以下ANG)の測定法が開発され,これら物質の血中レベルと血圧値との間に有意な相関が認められなかったことから,R-A系は本態性高血圧において昇圧系として重要な役割を演じていないのではないかといわれた時期もあった.しかしR-A系遮断剤,すなわちANGⅡ拮抗剤,レニン分泌抑制作用をもったβ遮断剤,さらには内服可能なアンジオテンシン変換酵素(以下ACE)阻害剤の広範な臨床応用の成績から,本態性高血圧維持にR-A系が昇圧系として大きな役割を演じていることが明らかとなった.ANGⅡ拮抗剤(外国ではサララシンがよく使われている)を本態性高血圧患者に持続注入すると,本剤にはアゴニスト作用があるため約15〜20%の患者(高レニン性の患者)にしかANG依存性は認められなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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