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文献詳細

雑誌文献

medicina19巻11号

1982年11月発行

文献概要

今月の主題 高血圧症—今日の知識 治療

悪性高血圧

著者: 尾前照雄1

所属機関: 1九州大学医学部・第2内科

ページ範囲:P.1984 - P.1985

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 悪性高血圧(malignant hypertension)の予後は治療によって著明に好転する.本症は予後が著しく不良ということで「悪性」の名称が付せられたが,今日の常識からいえば「悪性」という名称は必ずしも妥当とは思われない.筆者の考えによればその理由は2つある.1つは悪性といえば疾病の性質が悪性であると解釈されやすいが,本症(正しくは本症候群)は高血圧の性質に関連したものでなく,高血圧の程度(著明な血圧上昇)に関連した症状と所見を意味している.Pickeringが指摘しているように,その意味では高血圧の悪性期(malignant phase)と呼ぶほうがより妥当であろう.いま1つの理由は「悪性」の病像が治療によってしばしば消失し,予後不良の疾病状態とは必ずしもいえないからである.したがって悪性高血圧というよりは,進行型高血圧(acceleratedhypertension)の名称のほうが本態に近いと考えるのである.
 図は1970年のHoodら1)の文献からとったものであるが,降圧療法の行われなかったKeith-Wagener-Barker(1939)の報告に比べて予後が著明に好転している.近年は治療法がより進歩しているので,予後はさらに好転していると思われる.降圧治療の進歩とともに,近年は本症そのものの頻度も減少している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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