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文献詳細

雑誌文献

medicina19巻11号

1982年11月発行

文献概要

今月の主題 高血圧症—今日の知識 治療

降圧薬の副作用

著者: 武田忠直1

所属機関: 1大阪市立大学医学部・第1内科

ページ範囲:P.2002 - P.2003

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 降圧薬治療は,薬剤によって高血圧患者の血圧を正常レベルまたはその近くまで安定的に下降させ,全身の病態生理的異常を是正して健常者に近い状態を持続的に維持し,高血圧によって招来される心血管系障害の発生や進展を予防ないし阻止して,合併症の危険を除去することを目的とする.本態性高血圧症の昇圧機序はなお不明の点が多いが,神経性,体液性,腎性,血管性など複雑な因子が種々の程度に関与しており,体質的,環境的因子によっても,また病期や重症度によっても,昇圧因子の相互の重みには著しい個人差がある.作用機序の異なる多くの種類の化合物が現在降圧薬として用いられているが,いずれの薬剤もそれぞれの個有の薬理作用が患者の昇圧因子に対していろいろな仕方で直接または間接的に働いて,結果的に降圧効果を発揮する.
 降圧薬の副作用には,各薬剤に内在する薬理作用に関連するものと,降圧効果そのものに関連するもの,すなわち血圧の下降に対応する患者の恒常性維持機構が適切な作働範囲を逸脱して生ずるもの,およびその薬物の通常の薬理作用や降圧効果とは関係のない特殊なものに大別される.一般に好ましくない薬理作用を伴い,かつそれが強いものほど,副作用は出現しやすい.また降圧効果の点で切れ味がよい薬剤は,使用法が適切でないと,急激ないし過度な降圧に基づく副作用も起こりやすい.一般薬理作用や降圧とは無関係な副作用を生じやすい薬物は,降圧薬としては適当といえない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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