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文献詳細

雑誌文献

medicina19巻11号

1982年11月発行

今月の焦点 対談

ツベルクリン反応の新しい応用—免疫機能の簡便な指標として

著者: 泉孝英1 桂義元2

所属機関: 1京都大学結核胸部疾患研究所・第2内科 2京都大学結核胸部疾患研究所・細菌血清学

ページ範囲:P.2052 - P.2068

文献概要

 泉 1890年にKochにより創製され報告されたツベルクリン自体は,最初は結核の治療薬として華々しく登場したわけですが,その後,結核の治療薬としての意味はまったくなく,むしろ有害だという結論になりました.しかし,1907年にPirquetがはじめて今日のツベルクリンテストを実施して以来,世界中で最も広く行われている皮膚テストとなり,現在では毎年おそらく世界中で何百万あるいは何千万という人がツベルクリンテストを受けています.
 ただ,ツベルクリン反応の意義そのものは,先進国と開発途上国では大きく変わってきております.日本では,かつては結核感染の有無を知る有効な方法としてツベルクリン反応が用いられてきたのですが,最近20年間に結核が減ってくるとともに,いまでは免疫機能,とくに細胞性免疫機能の判定法として使われるようになってきています.癌の治療に関連して,癌の予後因子としてのツベルクリン反応,治療の指標としてのツベルクリン反応という使われ方が広く行われるようになってきているわけです.また,結核と他の疾患との鑑別の手段にもツベルクリン反応は使われてきています.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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