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文献詳細

雑誌文献

medicina19巻2号

1982年02月発行

文献概要

カラーグラフ 臨床医のための腎生検・2 糸球体病変・2

膜性糸球体腎炎(腎症)

著者: 坂口弘1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部・病理学

ページ範囲:P.288 - P.289

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 臨床的にはステロイド抵抗性のネフローゼ症状を示す.表のように小児にもみられるが,大部分は40歳以上,50〜60歳代が多く,20〜30歳代がそれに続いている.一般には男のほうが女より多いといわれているが,あまり差はない.小児は成人に比べて著しく少なく,寛解するもの,組織変化のよくなるものが成人より多い.膜性腎炎は原因不明なidiopathicなものが70〜80%であるが,他は全身疾患に伴った2次的なもので,原病としてはSLE,肝炎,梅毒,薬剤などがあるが,2次的なもので日常みられるものはSLEによるものが多い.
 光顕では図1のようにすべての糸球体にびまん性の係蹄壁の肥厚がみられる.この肥厚は上皮下のdeposit(図3電顕参照)によるもので,そのdepositの間に基底膜から新生基底膜が出ており,これを銀染色(図2)でみると棘状にみえspike(s)とよばれている.spike(s)は何年もたったものはたがいにつながり,よじれたロープ状になる.一般的にメサンギウム細胞の増殖はごくわずかである.糸球体の一部に硬化(segmental sclerosis)を示すものは完全寛解が期待できないとされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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