icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina19巻5号

1982年05月発行

文献概要

今月の主題 血清リポ蛋白の異常 血清リポ蛋白代謝異常の治療

高LDL血症の治療法

著者: 葛谷文男1

所属機関: 1名古屋大学医学部・老年科

ページ範囲:P.868 - P.870

文献購入ページに移動
 高LDL血症という言葉は通常あまり用いられていなかったが,血漿中の脂質とくにコレステロールのmain carrierがLDLであること,LDLがatherogenesityと最も関連の強いこと,すなわちLDLが虚血性心疾患のrisk factorとして重要であること,反面HDLがanti-risk factorであることなどの理由により,高コレステロール血症をさらに分類するという意味で,高LDL血症という言葉が用いられるようになったと思われる.したがって,ここでは高LDL血症と高コレステロール血症(atherogenesityをもつコレステロールの高い場合)とを同義語的に考えて話を進めることにする.
 血漿中にLDLが増加するメカニズムとしては,血漿中におけるVLDLからLDLへの変換の亢進が考えられる.すなわち,高VLDL血漿に伴って起こる可能性がある。この場合のratelimiting factorとしては,lipoprotein liPaseではないことが想像されている.それはheparinとかheparinoidを投与しても,LDLが血漿中でただちに増加してこないからである(むしろ低下する.この意味でMDSなどが用いられる).現在では,VLDLそのものの血漿中における増減が,LDLの生成に最も深い関係をもつと考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?