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文献詳細

雑誌文献

medicina19巻7号

1982年07月発行

文献概要

今月の主題 カルシウム代謝の基礎と臨床 トピックス

癌とビタミンD

著者: 宮浦千里1 須田立雄1

所属機関: 1昭和大学歯学部・口腔生化学

ページ範囲:P.1228 - P.1229

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 ビタミンD(Vit.D)は小腸と骨を標的器官とするCa調節因子として広く知られており,その活性型代謝産物である1α,25(OH)2D3は,標的細胞のcytosolに存在するリセプター蛋白との結合を介して作用を発現すると考えられている.また,最近では小腸や骨以外の組織(皮膚,膵,副甲状腺,腎,下垂体など)にも,1α,25(OH)2D3と特異的に結合するリセプター蛋白の存在が報告され,それらの組織におけるビタミンDの作用も検討されるようになった.
 とくに昨年来,数種の腫瘍細胞に同様な1α,25(OH)2D3リセプターの存在が証明され,癌細胞へのビタミンDの関与が注目されている(表)一これら腫瘍細胞への1α,25(OH)2D3の作用に興味が持たれるが,悪性黒色腫細胞では10-10〜10-8Mの1α,25(OH)2D3により増殖抑制効果が認められている1).乳癌の株細胞の増殖に対しては,濃度に依存して抑制作用と促進作用があるという報告と,濃度に依存せず常に増殖を抑制するという報告に分かれている.1α,25(OH)2D3のこれら腫瘍細胞への作用は不明な点が多いが,リセプター蛋白の存在はそれぞれの腫瘍細胞が,1α,25(OH)2D3の標的細胞である可能性を強く示唆している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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