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文献概要
今月の主題 実地医に必要な臨床検査のベース 生理的変動因子
運動
著者: 井川幸雄1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学・臨床検査医学
ページ範囲:P.1430 - P.1431
文献購入ページに移動 運動の検査値におよぼす影響について述べる場合には,その運動の強度とそれに費やした時間についての情報が必要となる.運動の強度については,その時の酸素消費量が目安になるが,最近,臨床では代謝単位metabolic units(METS)が用いられるようになった.これは坐位での安静時代謝量は酸素消費量として3.5ml/kg・分で,約1kcal/kg・時となるので,これを1METSとし,運動時(労作時)代謝量が,この何倍にあたるかを示すものである.ゆっくりした歩行や家事では4METS,早足,農作業などでは6METS,ジョギングが9METS,ランニングはスピードにより,毎時のkmの数値がほぼMETSにあたる.たとえば毎時20kmで走れば20METSで,一流スポーツマンでのそれになる.ゴルフ,ボーリングなどでは4〜5METS,サッカー,ホッケーなどでは10METS以上になる.
5〜6METS以上では血液中乳酸の蓄積も起こり,生体負担度は大きいと考えてよい.
5〜6METS以上では血液中乳酸の蓄積も起こり,生体負担度は大きいと考えてよい.
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