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文献詳細

雑誌文献

medicina2巻10号

1965年10月発行

文献概要

治療のポイント

サイアザイドの副作用

著者: 加藤暎一1

所属機関: 1慶大内科

ページ範囲:P.1499 - P.1501

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はじめに
 Thiazide剤は登場以来8年を経たが,なおその適確な効果に比し副作用の非常に少ない薬剤といえよう。数多い誘導体も,薬用量が異なるだけで,作用面で本質的な差はない1)。作用機序の要は腎の尿細管(主に近位)に作用し,亢進したNa再吸収をblockし,同時にCl,水の排泄を促進することであるが,この際ある程度Kの排泄増加は不可避であり,また尿酸の排泄が減少する場合が多い。
 出現当時は,本来の副作用としてはminorな胃腸障害,皮膚発疹の他は,上述した薬理作用の過度に現われたものとして低Kあるいは低Na血症その他大量でhypovolemiaのためかGFRの軽度低下,したがつて進んだ腎疾患でBUNの上昇などが強調されたにすぎなかつた。当時わが国ではKに対する関心がほとんどなかつたので本剤の使用によると思われる低K血症(K欠乏症)は多く見たが,他には急激な降圧のための脱力感,立ちくらみなどに限られていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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