文献詳細
文献概要
器械の使い方
尿比重計の使いかた
著者: 斎藤正行1
所属機関: 1東大・臨床生化学
ページ範囲:P.1659 - P.1661
文献購入ページに移動 尿の比重を測定する臨床的目的は大きく2つに分けることができる。第1は腎機能,第2は尿中の固形含量いかんを知ることである。前者は腎障害の早期に腎尿細管の濃縮力がおかされること,それによつてひき起こされる尿中固形含量比の減少を,手軽な比重計をもつて表現しようとするものであり,後者は糖尿病などのような,多量に糖を含むことによる固形量の増加を,同様に比重をもつて表現しようとするのである。
ここでわれわれが知りたいのは結局尿中の固形含量ということになるが,この固形含量を直接測定することはきわあて繁雑である。最近凍結乾燥という手段が容易とはなつたがそれは生産ペースにおいてであつて,一刻も早くそのデータを診療に用いたい,またどんな僻地でも実施できる必要のある臨床検査としては,直接尿中固形量を測定することは無理がある。幸い固形含量(solute)と他の物理的性質たとえば比重とか屈折率がかなり相関があり,とくに比重はきわめて手軽にどこででもできることから,むかしから固形量の表示として広く実用に供されていた。ところが手軽に簡単にできるものは安価でなければならないという不思議な世のなかの習慣があり,さらに少量の尿中においても浮上するものという実用性から,小型,安価なチャチなものが常識となつてしまつた。
ここでわれわれが知りたいのは結局尿中の固形含量ということになるが,この固形含量を直接測定することはきわあて繁雑である。最近凍結乾燥という手段が容易とはなつたがそれは生産ペースにおいてであつて,一刻も早くそのデータを診療に用いたい,またどんな僻地でも実施できる必要のある臨床検査としては,直接尿中固形量を測定することは無理がある。幸い固形含量(solute)と他の物理的性質たとえば比重とか屈折率がかなり相関があり,とくに比重はきわめて手軽にどこででもできることから,むかしから固形量の表示として広く実用に供されていた。ところが手軽に簡単にできるものは安価でなければならないという不思議な世のなかの習慣があり,さらに少量の尿中においても浮上するものという実用性から,小型,安価なチャチなものが常識となつてしまつた。
掲載誌情報