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文献概要
臨床検査の盲点
比重と屈折率—腎濃縮力の表現
著者: 阿部裕1
所属機関: 1阪大中検
ページ範囲:P.433 - P.433
文献購入ページに移動 腎の濃縮力の表現手段として尿比重が従来採用されているが,これは比重計を尿に浮かすことによつて,手軽に測定できるからに他ならない。われわれが本当に,知りたいのは腎の濃縮力であるから,尿中の溶質が一体どのくらい濃縮されて尿中に排泄されているかを調べる適当な方法がほしいわけである。比重もこれに近い。しかし一概に溶質といつても尿素,NaCl,クレアチニンなど多くのものが含まれており,それぞれ1分子当りの重量が異なるから混合液ではモル溶度必ずしも比重に比例しない点が比重法の欠点である。
さらによく考えてみると濃縮度は必ずしもモル濃度に反映されない。というのはNaC1のような解離するものでは1分子で2倍の滲透圧を示すからである。この点から考えると屈折率はかえつて比重より優れているともいえる。しかしこれも粒子数に比例はするが,粒子の性質と全く無関係ではないからやはり混合液の濃縮度の絶対的尺度とはなり難い。
さらによく考えてみると濃縮度は必ずしもモル濃度に反映されない。というのはNaC1のような解離するものでは1分子で2倍の滲透圧を示すからである。この点から考えると屈折率はかえつて比重より優れているともいえる。しかしこれも粒子数に比例はするが,粒子の性質と全く無関係ではないからやはり混合液の濃縮度の絶対的尺度とはなり難い。
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