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<話合い>蛋白漏泄性胃腸症—その発生機序と診断のすすめ方
著者: 西川光夫1 築山義雄2 宇佐美正暢
所属機関: 1阪大内科 2市立池田病院
ページ範囲:P.516 - P.521
文献購入ページに移動司会(宇佐美) 本日は,蛋白漏泄性胃腸症についてお話を願うわけでありますが,この病気は,私をも含めて一般の先生方には,耳新しいものでありまして,初めてお聞きになつた方も多いのじやないかと思います。それでまず本疾患の概念と,その歴史的展望について,西川先生から,簡単にお話し願いたいと思います。
西川 ネフローゼは昔から知られていて,尿の中に蛋白が漏れ,血清の蛋白が減つて,低蛋白血症をきたすのですが,そういう低蛋白血と体中に浮腫があつて尿に蛋白の出ていない例が,昔からある程度,気づかれていたようです。そういつた例は,尿蛋白のないネフローゼと言つたりして,原因不明のままに過ごしていたのだと思います。低蛋白血症が起こるには,食べる蛋白が少ない場合がまず考えられます。飢饉などで長い間蛋白質を食べないでおれば低蛋白血が来ます。また,せつかく蛋白質を食べても,消化,吸収が悪かつたり,または蛋白の合成の障害のために低蛋白血になります。その他,摂取も合成も正常で,外へ漏れてしまうために低蛋白が来ることがあります。漏れるものの中にはネフローゼのように有名なものもあるし,瘻孔から膿汁が絶えず出ているとか,あるいは肺から多量の喀痰が出て蛋白の減少をきたすこともある。ところが胃腸から便の中に蛋白が漏れるものがあることが最近わかつてきたわけです。
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