icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina2巻5号

1965年05月発行

文献概要

簡易臨床検査のやりかたと評価

尿中,血中ケトン体の簡易検査法

著者: 橘敏也1

所属機関: 1聖路加国際病院

ページ範囲:P.652 - P.652

文献購入ページに移動
 ケトン体検査の意義:高脂肪低含水炭素食,飢餓,糖尿病では,含水炭素の代わりに大量の脂肪が代謝にまわされる。その結果,脂肪の不完全燃焼が起こり,血中にケトン体ketone bodiesといわれるアセト酢酸,β-オキシ酢酸,アセトンが増してくる。これらケトン体が血中に増す(ケトン血症ketonemia)と血液はアシドージスに傾き,生体の機能はいちじるしく障害される。血中に増したケトン体は尿に漏れてくるので尿を検査することによつてケトン血症を知ることができる。
 一般にケトン血症ではこれら新陳代謝障害のため重篤な症状を呈し,時宜をえた処置がなされないと生命は危険に瀕する。しかもそれを処置することによつてその症状のめざましい好転をきたすことができる。このようにケトン体の検査は診断と治療の確認に大きな助けとなる。しかも最近はケトン体の検査法はいちじるしく簡便化されたので,この臨床的意義の大きいケトン体の検査はもつともつと日常診療のなかにとりいれられるべきものと考える。ケトン体の検査はその目的からとりわけ敏感で,簡便なことを要する。検査法としては,こんにちnitropruside reactionがもつぱら用いられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?