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雑誌目次

雑誌文献

medicina2巻6号

1965年06月発行

雑誌目次

EDITORIAL

機能検査の意味するもの

著者: 阿部正和

ページ範囲:P.825 - P.827

多くなつた機能検査……
 臨床検査が疾病の診断に不可欠なものであることは,いまさらいうまでもない。このところ大病院では,きそつて中央検査制度をとりいれ,どの病院にも立派な検査伝票が備えつけられるようになつてきた。これらの伝票を見てみると,そのなかに肝機能検査,腎機能検査,膵機能検査……等々,各臓器の機能検査と銘うったものが大変多いように思われる。これらの伝票に記載された検査結果から,はたしてその臓器の機能が適確にわかるものであろうか,どうかをここで論じてみたい。こんなところに臨床検査の盲点の一つがありそうに考えられるからである。

今月の主題

紫斑病とよばれているもの

著者: 松岡松三

ページ範囲:P.828 - P.831

 紫斑病とは病名ではなく,皮膚や可視粘膜の斑状出血とともに他の器官に出血を認める疾患を総称したものである。したがつて,その出血の原因をつきとめなければならない。紫斑病とよばれるものは,どのような原因によるものか。

見逃がされているパーキンソン病

著者: 加瀬正夫

ページ範囲:P.832 - P.835

 パーキンソン病は神経疾患のなかでも,かなり頻度の高い疾患であるが原因が単一でないうえに,非定型的なものも少なくないため,誤診されたり見逃がされる場合が多い。見逃がされがちな点を伝えるとともに,内科的処置について。

<話合い>見逃がされている神経病

著者: 加瀬正夫 ,   吉川政己 ,   斎藤佳雄 ,   佐々木智也

ページ範囲:P.836 - P.842

 生体が動き,感じ,代謝を営むのはすべて神経系あつてのことである。ところが,神経疾患というと一般臨床医家はとかく難解なものとして,敬遠しがちのようである。本号ではその点について臨床上の問題点とあわせて,具体的に考えてみた。

Physical Diagnosis

神経疾患の診断—視診を中心として

著者: 相沢豊三

ページ範囲:P.843 - P.846

神経疾患の診断は,まずくわしい病歴から
 周知のように神経疾患の正しい診断は詳細な病歴の聴取と綿密な診察にある。
 患者のようすを見ながら病歴を聴取することもあろうし,綿密な診察のなかに視診が含まれてもいるわけであるから視診だけを独立して正しい診断への要素とするわけにもゆくまい。

診断のポイント

頻脈について—発作性の頻迫症(頻脈)に内科医の必ずすべき手段

著者: 日野原重明

ページ範囲:P.847 - P.850

 頻脈の患者を診察した時,何が頻脈をひき起こしているかを判断しないで,すぐ強心剤などを注射することは,発熱患者の原因を追求しないで,解熱剤を注射することと同様に誠に無責任な治療である。
 それは治療とはいえない。とういうのは,頻脈にジギタリスや強心利尿剤を注射して急死させたり,苦悶状態に陥れさぜたりすることが少なくないからである。

乳がん早期発見のために

著者: 太中弘

ページ範囲:P.851 - P.853

乳がん発生の傾向
 昨今はがんに対するPRがゆきとどいたのと,乳がんは胃がんなどと異なつて,直接表面から触れることができるので,患者自身が比較的早期に腫瘤を発見し,がんをおそれて来院する者が多くなつた関係上,潰瘍を伴つた晩期のもの(Steinthal III型)は少なくなつたが,そのかわり若い女性まで正常の乳腺をがん腫と誤解したり,あるいは,痛みがあるが,がんではないかと心配して診察を乞う者も多くなつてきたので,その診断と指導にはよほど慎重でなくてはならない。とくにがんと確診した場合には当然乳房切断術が行なわれるので,患者にがんという病名をかくすことができない。この点が胃がんを胃潰瘍といつて,患者をごまかし,一時を糊塗して安心感を与えることができるのと異なり,医師にとつても家族にとつても立場が苦しい。そこで,あなたの場合はまだ早期で再発の心配がないからといつて安心感をもたせるように心がけるべきであろう。

高熱が持続するとき

ページ範囲:P.854 - P.856

治療のポイント

消化酵素剤の現況と使い分け

著者: 石川誠

ページ範囲:P.857 - P.860

消化酵素剤の現況
 現今市販されている消化酵素剤は大別するとジアスターゼやパンクレアチンのように単味のものと(第1表),これらのうちの数種と胆汁末やいわゆる消泡剤Dimethylpolisiloxaneなどを合剤とした綜合消化酵素剤とがある(第2表)。
 しかしながら,一般に市販の酵素剤は単味のものでも純品はほとんどなく,いずれも多少のアミラーゼ,プロテアーゼ,リパーゼ作用があり,それぞれの程度がことなるにすぎない。

心不全の栄養指導

著者: 塩田登志也

ページ範囲:P.861 - P.862

New York Hear Associationの機能分類にもとづいて
 心臓病といつても原因的にもリウマチ性,先天性,高血圧性,動脈硬化性,梅毒性,甲状腺性,貧血性,栄養欠乏性などいろいろのものがあり,なかでも高血圧症,動脈硬化症,脚気心などでは,予防ならびに治療の意味で,食事指導が重要なことは論をまたない。
 しかし,ここでは紙数の余裕もないので,うつ血性心不全の栄養指導についてのみ述べる。

老人と鎮静剤・精神安定剤

著者: 吉川政己

ページ範囲:P.863 - P.865

 老人は鎮静剤,精神安定剤の適応となる場合が非常に多い。一方これら薬剤による副作用も発生しやすいので,本剤を効果的に副作用なく用いるか否かは老年者診療上たいせつな事柄である。以下 1.老人に本剤の必要な理由 2.老人に用いられるおもな鎮静剤,精神安定剤ならびに 3.老人における鎮静剤,精神安定剤の効果と副作用について述べることにする。

グラフ

薬疹—病像と原因薬剤

著者: 西山茂夫

ページ範囲:P.814 - P.815

 薬疹とは治療薬剤に対する皮膚の異常反応であり,多種多彩な病像を示す。その病因を完全に説明することは困難であるが,つぎのような原因別の分類が試みられる。
 1)アレルギー性:もっともしばしば遭遇し,かつ重要。アナフィラキシー性の蕁麻疹様反応は数分で生ずるのに対して,湿疹様,麻疹様,猩紅熱様の発疹は数時間ないし数日の潜伏期がある。発疹の型はさまざまで,個体の反応準備状態によって相異する。すなわち1つの薬剤が異なった反応を起こし得るし,逆に異った薬剤が同一の反応をおこし得るので発疹の性質から原因となる薬剤を想定することは出来ない。

放射線治療による障害(疾患)

著者: 吉村克俊

ページ範囲:P.817 - P.820

 放射線治療の進歩普及に伴つて,放射線による身体深部健康組織に対する障害も頻度を増し,注目されてきている。ここではそのいくつかを紹介する。

乳がんの診断法—臨床鑑別診断

著者: 太中弘

ページ範囲:P.821 - P.822

 年々乳がんを心配して外来を訪れる患者が増えてきているが,乳がんも早期発見が重要であることは言をまたない。しかし,初診を行なうにさいしてもつともたいせつなことは,がんであるか,良性腫瘍であるかの鑑別であろう。

附表

放射線治療による障害

著者: 吉村克俊

ページ範囲:P.872 - P.872

ファースト・エイド

肝生検後のショック

著者: 牛尾耕一

ページ範囲:P.866 - P.868

いと口
 近年の臨床医学の進歩は臨床検査法の開発に負うところが多い。なかでも生検法は戦前の表在性臓器,組織から内臓におよび,手技も観血的方法から生検針に替るとともに広く内科臨床に用いられるにいたり,その貴重なdataは診断,治療効果の判定,経過の追求に有力な手がかりを与えている。しかし対象が内臓に移るとともにその危険性も大きくなつていることも否めない。この問題に関連して,私どもの行なつてきた肝(345件),胸膜(128),腎(20),脾(6)の針生検のうち,実施の機会も事故の可能性も多い肝をとりあげてみることとした。

器械の使い方

遠心器の選び方・使い方

著者: 仁木偉瑳夫

ページ範囲:P.870 - P.871

遠心力
 遠心器の生命,遠心力は回転半径と回転速度の2乗に比例する。ふつう重力(G)の単位で表わす。回転数だけで表現すると誤まりのもとになる。図1は回転数,半径,Gのノモグラムである。

正常値

血清膠質反応

著者: 林康之

ページ範囲:P.924 - P.925

正常値
 各膠質反応の正常範囲を表1に示した。判定成績の多くは陽性,陰性で示され,数値として表現される膠質反応はチモール混濁試験(TTT)および硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)の2種類である。血清膠質反応はタンパク質の質的,量的変動を示す非特異的反応と考えられ,結果の判定は定性検査的な傾向の強い検査である。臨床的には血清タンパク質の変化を示しやすい肝疾患に,肝機能検査のひとつとして広く利用されているが,微細な数値の変動を臨床経過の判断のうちにとりいれてゆくにはまだ困難な点が多い。ことに膠質反応は本質的に化学分析ではないため,規準となる標準物質はなく,陰性,陽性の判定も,光電比色計を用いる(TTT),(ZTT)のごとく客観的数値を求めうる検査法の正常値も,検査術式を厳密に規制しなければ同じ立場で成績の比較,評価はできない。これが表示のごとく(ZTT),(TTT)正常値の報告が著者3)により多少差の見られる理由のひとつでもある。これらの混乱をなるべく少なくするため肝機能検査の標準操作法が討議2)され,統一の方向に向かいつつあり,われわれの教室では本法に従つたときの健康人正常値として,(TTT)は1.39単位(4単位以下),(ZTT)は4.97±3.90単位(10単位以下)と報告1)した。

診断問答

左上腹部の疼痛と腫瘤をともなつた患者の診断

著者: 高階経和

ページ範囲:P.931 - P.933

第1部
 医師A—やあ,先日はどうも。ちようど,先生のお話を伺ってから二週間目でしたか,私の病院でも,高血圧で長年治療を受けていた患者が,心筋硬塞をおこし,その直後に,急性の大量下血をおこし,ショック状態が二日続いた後に死亡したケースがありました。わたしの病院では,初めての経験でしたが,先生にお教えしていただいた直後のことでもあり,大変に役に立ち,症例検討会の時にもそのことを話し合って,病院のスタッフの参考になりました。
 医師B—それは,ようございましたね。ところで,今日は,私が先生に難題を解いて頂こうと思って,お話しするケースがあるんですよ。

統計

昭和39年の伝染病,食中毒患者・死者数—日本脳炎の統計

著者: 滝川勝人

ページ範囲:P.869 - P.869

 昨年1年間における,伝染病および食中毒の患・死者数,およびその罹患・死亡率の状況は別表のとおりです。前年(本誌第1巻.第5号参照)のそれと比較してみますと,赤痢・腸チフス・しよう紅熱・ジフテリア・百日せき・結核患者などが減少しており,日本脳炎・ましん・インフルエンザ・食中毒患者などが増加しております。
 とくに,昨夏流行をみた日本脳炎について,罹患率の年次推移をみたのが図1であります。全般的には,遂年漸減傾向にあるといえますが,2〜3年ごとに小流行をみております。そこで,最近において流行をみたと思われる昭和33年,36年,39年において,年齢階級別にその罹患率をみたのが図2であります
 。

簡易臨床検査のやり方と評価

便の脂肪検査

著者: 河合忠

ページ範囲:P.812 - P.812

 糞便中の脂肪は中性脂肪,遊離脂肪酸,および脂肪酸塩の3つの形で存在し,中性脂肪と脂肪酸の割合は1:3である。食事として摂取された中性脂肪は腸内のリパーゼにより分解されて脂肪酸となる。脂肪酸は胆汁酸の助けで主として小腸の粘膜から吸収され,腸粘膜上皮で再び中性脂肪に合成されて乳糜管から体内に取り入れられる。腸内の遊離脂肪酸の一部は腸内のアルカリ土金属(カルシウム,ナトリウム,カリウム)と鹸化反応により脂肪酸塩(石鹸)を作る。正常人では便の脂肪は乾燥重量の約25〜30%を占め,ある種の疾患で便の脂肪が増加すると淡黄色の便が大量に排出される。脂肪便の診断には便の脂肪を定量する必要があるが,その前にここに記述するごく簡単なスクリーニング・テストをおこなうと脂肪便の鑑別診断に役立つ。
 やり方 少量の便を鏡検用ガラス根に約1cmの直径にぬりつけ,生理的食塩水1滴を加えて平等に混和する。これに1滴の氷酷酸と1滴の0.2%ズダンIVエタノール溶液を加え,カバー・グラスを載せる。これを低倍率で鏡検し,赤色に染まる球形の中性脂肪滴(直径数マイクロン以上のもの)を数える。この際,脂肪滴はカバー・グラスの辺縁に寄ることがあるので注意する。

ノモグラム

アジス勘定用ノモグラム

著者: 阿部裕

ページ範囲:P.805 - P.805

使用法
 1区劃(1mm2)中の赤(白)血球数または9区劃(9mm2)中の円柱数を左側スケールに,12時間尿量を右側スケールにとり,直線で結び中央線との交点を求める。この際,有効桁数は1桁にとどめるべきである。たとえば尿量300ml,1区劃中赤血球数25の場合,8×106とする(尿10mlを遠沈,上清を捨て1mlを混和する方法を採用した場合)。

床臨検査の盲点

検査成績と有効数字

著者: 阿部裕

ページ範囲:P.934 - P.934

 測定には測定誤差がつきものであるが,臨床検査もその例外ではない。たとえば血清中のある物質を呈色反応によつて測定した場合,成績の精度には測定理論そのものの誤差,ピペット,ビューレット,比色計などの誤差,読みとりの誤差,その他偶然に起こつた過失誤差など多くの因子が関与している。さらにこの場合測定の基準となる標準液(または標準血清)の誤差も見逃すことはできない。
 要するに測定にはこのような種々の誤差がつきまとつているから,その成績を数値で表現する場合には,これらの誤差因子を総合,とくに相対誤差のもつとも大きいものに注意し,さらに誤差伝播の理論にもとづいて数値計算を行ない,成績の何桁までが信頼しうるか,すなわち有効数字は何桁であるか明らかにせねばならない。

色素法では尿中Bence-Jonesタンパク体を検出しにくい

著者: 丹羽正治

ページ範囲:P.935 - P.935

色素法の普及
 尿タンパクの定性検査には従来のスルホサリチル酸や煮沸などの沈澱法に代つて最近は色素法が普及している。この方法の原理はタンパク誤差と言われ,一定のpHに維持されているある種の指示薬にタンパクが作用するとある程度はその濃度に応じて色調が多くはアルカリ側に移動することに基づいている。この新しい方法では試薬類を浸ませた試験紙を単に尿に浸すだけでよく,加熱も器具も不要で操作は全く簡便である。そのうえ濁つた尿でも前処置なしにそのまま検査でき,またtolbutamideやX線造影物質などでも,スルホの場合のように疑陽性反応を呈しないことなどの理由で,将来はますます普及する可能性がある。
 ただ最近になつて,この方法では尿中のBence Jonesタンパク(BJP)に対する感度が不良であることが認められている。

症例

上腕神経痛と頸椎

著者: 恩地裕 ,   立松昌隆

ページ範囲:P.905 - P.909

"上腕神経痛"は診断名ではない
 上腕神経痛を起こしてくる疾患は種々あり,その鑑別も非常に困難を覚えることが多い。この上腕神経痛を起こしてくる疾患のうち,今回は頸椎に由来するものについて,そのレ線学的所見を追つて,その大略を述べることにする。話を進める前に上腕神経痛というのは,あくまで単なる症状名であつて診断名ではないということを強調したい。というのは,上腕神経痛という言葉が,挫骨神経痛と同様,あたかも診断名(疾病名)であるかのように使用されていることが多いからである。

心身相関の慢性蕁麻疹

著者: 中川俊二 ,   草野忠良 ,   松山茂

ページ範囲:P.910 - P.914

 蕁麻疹がアレルギーとは関係なく,心理的な条件によつて起こることは,すでに知られていたが,これに対して心身医学的治療を始めたのは,ごく最近のことである。最近経験した症例を紹介する。

他科との話合い

扁摘—その適応と実際

著者: 猪初男 ,   土屋俊夫 ,   鮒子田繁雄 ,   長谷克

ページ範囲:P.915 - P.921

 扁摘は,むかしはかなり無差別に行なわれていたが,最近,扁桃のはたらきが明らかになつてくるにつれてかなり慎重になつてきている。扁摘にふみきる場合かならず他科と相談して行なうべきである。

基礎医学

アシドーシスとアルカローシス—その意味

著者: 阿部裕

ページ範囲:P.926 - P.930

 病気にはたいてい体液の異常が見られる。これを正しく診断し,適切な処置をとることは臨床家にとつて大切なことである。
 生体の体液を恒常に保つ制御機構に故障がおこつたり,外力が大きすぎると体液の異常が起こる。アシドーシスもアルカローシスも,このようにして起こる体液pHの異常症である。

座談会

大病院と開業医のコミュニケーション—医療の未来図を探る

著者: 小山武夫 ,   木下正一 ,   小原辰三 ,   春日豊和 ,   菊池博 ,   村松博雄

ページ範囲:P.874 - P.879

頭の痛い保険事務
 村松(司会)きようのテーマは病院と開業医との結びつきということですが,それにはいろいろな経済的な問題,あるいは地域の患者さんのこともあるし,お医者さん自体の勉強のしかた,姿勢の問題などを含めて,開業医の恨みつらみをこめたところあたりからお話願いたいと思います。
 菊池 現在の医療制度のもとでは,やはりなんといつても開業医が,保険診療の事務を,なんとかしなければ思ったことができないということです。事務の簡素化ということが,なによりも必要だということを痛感しております。

If…

病院にしみこんだ30余年の年輪—前豊島病院長 内田三千太郎氏に聞く

著者: 長谷川泉

ページ範囲:P.880 - P.881

思い出に残る医師への途
 長谷川 医師になられた動機はどんなことでしようか。
 内田 仲のよい友人が医学校に進むというので刺激を受け,父も反対しませんでした。とくに大きな理由はありません。私の生まれる2年くらい前に死んだ祖父の祖父は医学の勉強をしたそうで古い医書がたくさん残つております。暦を自分で作つて村人へくばつたりしたといいます。

海外だより

ウイスコンシン大学病院留学記(4)—医学教育について

著者: 本田利男

ページ範囲:P.884 - P.886

 W大学病院は州立のため,アメリカの公立各大学医学部に準じて教育や研究が行なわれており,インターンやレジデントの教育もAmerican Medical Associationによつて認可をうけ,付属病院は170名の定員制がしかれている。
 ドクターになるにはGrade School 9年,High School 3年からCollege4年を経て医学部4年とインターン1年の単位を修了してM. D. をもらう。毎年9月上旬に新学期が開始され,翌年6月上旬で修了し,3ヵ月間の夏休暇がある。

最も印象に残った本

医学の正しい常識と研究に対する情熱の火を—冲中重雄著「医師と患者」をよんで

著者: 日野原重明

ページ範囲:P.882 - P.883

戦後から今日までの論文随筆の集大成
 最近,東大名誉教授で,現在虎ノ門病院長の冲中重雄博士が,東京大学出版会から,「医師と患者」という題の著書を出された。冲中教授は国際的に有名な自律神経系統の研究家であるが,同時に医学教育家として,また,内科の臨床家としての実積は先生の右に出る人は少ないと思う。その先生が,大学入学以来40年近く通われた東大を去って,民間の総合病院長として,新しい角度から,医学や医療を再検討されつつ,先生の序文によれば,「頭のきりかえの必要をせまられるような体験」のさ中に戦後から今日までに雑誌や新聞に臨床医学や医学教育,医療について書かれた論文随筆をまとめて出版されたのが,この著書である。
 342頁を5章にわけ,1章は「医師と患者」,2章は「老人と病気(心臓,癌,脳出血)」,3章は「自律神経雑感」,4章は「某月某日」,5章は「先達追憶」,6章は「明日の医学」について書かれてある。

医学英語論文の書き方16

英語論文の作り方

著者: 紺野邦夫

ページ範囲:P.938 - P.938

 今回は日本人の作つたAbstractを外人が如何に直すかの例を挙げます。

質問と答え

Triosorb Testに関する質問

著者: 飯野史郎

ページ範囲:P.942 - P.942

質問1
 131I-Triiodothyronineと赤血球との結合能力がなぜHyperthyroidで高いのか?

両側腰部交換神経切除術後の疼痛の訴え

著者: 清原迪夫

ページ範囲:P.943 - P.943

質問
 一昨年,ブュルゲル病にて両側腰部交感神経切除術を受けた58歳の男性ですが,昨年11月より今度は両側手指のいいしれない疼痛を訴えて来院,本人はもう手術を受けるのはいやであると頑強に拒んでいます。なんらか患者の要望をかなえさせてやる方法はないものでしようか。(一開業医)

文献抄録

中間代謝—同位元素のもたらした成果—Annals of Internal Medicine 61 (5), 966, 1964

著者: ,   外島英彦

ページ範囲:P.936 - P.937

 今日皆さん方に対する講演を依頼されましたことを大へん光栄に存じます。私は生化学者であり医者ではないのでありますが,実地医療の諸問題になみなみならぬ関心と興味をもっているのでありまして,実際私が今日まで講義したり研究したりして来た事柄は内科や外科で起こる問題にいとぐちをもっているものばかりなのです。
 さて,Graves病のR. Graves博士は1843年に行なった講演の中で次のようなことを述べております。

話題

C. H. Li教授の特別講演を聞いて—第38回内分泌学会総会より

著者: 清水直容

ページ範囲:P.873 - P.873

 Li教授は中国広東生まれで南京大学卒業後,1935年に米国に移りBerkelyにあるカリフォルニヤ大学で化学を専攻され1938年にPh Dをえられた。以後1950年より同大学で生化学教授になられ,1959年来同大学Hormone Research LaboratoryのDirectorである。
 教授の仕事は一貫して蛋白化学の分野であり,とくに下垂体の蛋白性ホルモンの抽出,分離,純化,さらに構造決定からその合成までの仕事は現在の内分泌学の発展に非常に貢献されているところである。今回,日本内分泌学会の招待により来日され,4月10日午後,約2000人の会員を前に現在までの仕事をまとめられ,また昨年純化された新しい第8の下垂体ホルモンLipotropinについて話をされわれわれをおおいに啓蒙された。以下教授の現在までの業績を中心にACTH分子の化学と生物学についてまとめてみる。

非結核性肺疾患の管理—産業結核研究懇話会から

著者: 梅田博道

ページ範囲:P.887 - P.887

 職場における結核患者の管理体系もいまなお完成したとはいえないが,その焦点が肺結核から非結核性肺疾患へと移りつつあるのは事実である。

開業医は制がん剤をどの程度まで使用してよいか

著者: 増田正典 ,   中島吉彌

ページ範囲:P.939 - P.939

 近年悪性腫瘍の治療に関する研究は各分野において目ざましいものがある。このうち化学療法が比較的重要視されるに伴ない,いろいろの角度から悪性腫瘍と化学療法との相互関係が検討されてきた。Oldらは担がん宿主の抵抗性と化学療法について,網内系と密接な関係を有することを指摘している。制がん剤を投与した場合一時的に制がん効果が得られてもその後間もなく著明な副作用のため重篤な症状に陥つたりあるいは制がん剤投与により逆に腫瘍が増大する,いわゆるadvers effectがしばしば経験される。これらはいずれも上述の担がん生体の抵抗力と制がん剤との相互関係にもとづくものとして解釈されている。

ニュース

不足する医師

著者:

ページ範囲:P.941 - P.941

 数年前,全国的な規模の病院争議が発生してから,看護婦不足の問題が現在の医療制度の重大な問題として世間の注目をひくようになつた。しかし,全国の開業医の分布や地方の病院の勤務医師の現状をみると,医師不足の問題のほうが,看護婦不足のそれよりももつと重大な問題であるように思われる。最近は地方の病院や診療所だけでなく多くの医科大学においてさえも医師の不足が深刻な問題となつているのである。
 ところで,わが国の昭和37年末の全医師数は105,437人で,人口10万対の数は110.8人,医師1入あたりの人口は903人である。これを欧米諸国の医師1人あたりの人口と比較すると,イタリア(610人),西ドイツ(730人),アメリカ(780入)よりは少ないが,イギリス(960人),フランス(993人)よりは多く,オランダ,ノルウェー,カナダ(それぞれ900人)とほぼ同じ水準である。

医療費基本問題研究員の報告

著者:

ページ範囲:P.940 - P.940

 医療費基本問題研究員は,昭和38年8月,高橋長太郎(一橋大教授),大熊一郎(慶大教授),高宮晋(上智大教授),伊藤長正(横浜国大助教授),嘉治元郎(東大助教授),外山敏夫(慶大教授)の6氏を委員に委嘱し,座長を高橋長太郎氏として厚生省令によつて設置されてから,26回にわたる会合と医療機関の調査視察を行なつて検討をかさねていたが,さる3月26日,最終報告をとりまとめ神田厚相に提出した。
 この研究の全体の構想と各研究員の分担は,

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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59巻4号(2022年4月発行)

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59巻3号(2022年3月発行)

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特集 クリニカルクエスチョンで学ぶ糖尿病治療薬—糖尿病治療の新しい潮流

56巻13号(2019年12月発行)

特集 プライマリ・ケアのための—ポリファーマシー「超」整理法

56巻12号(2019年11月発行)

特集 内科医が押さえておくべき—検査の考えかたと落とし穴

56巻11号(2019年10月発行)

特集 不明熱を不明にしないために—実践から考えるケーススタディ

56巻10号(2019年9月発行)

特集 脱・「とりあえずCT」!—スマートな腹痛診療

56巻9号(2019年8月発行)

特集 みんなが知っておきたい透析診療—透析のキホンと患者の診かた

56巻8号(2019年7月発行)

特集 一歩踏み込んだ—内科エマージェンシーのトリセツ

56巻7号(2019年6月発行)

特集 抗菌薬をアップデートせよ!—耐性菌に立ち向かう! 適正化の手法から新薬の使い分けまで

56巻6号(2019年5月発行)

特集 糖尿病診療の“Q”—現場の疑問に答えます

56巻5号(2019年4月発行)

特集 しまった!日常診療のリアルから学ぶ—エラー症例問題集

56巻4号(2019年4月発行)

増刊号 一人でも慌てない!—「こんなときどうする?」の処方箋85

56巻3号(2019年3月発行)

特集 TPOで読み解く心電図

56巻2号(2019年2月発行)

特集 抗血栓療法のジレンマ—予防すべきは血栓か,出血か?

56巻1号(2019年1月発行)

特集 枠組みとケースから考える—消化器薬の選び方・使い方

55巻13号(2018年12月発行)

特集 これからの心不全診療への最新アプローチ—予防からチーム医療・先進医療まで

55巻12号(2018年11月発行)

特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ

55巻11号(2018年10月発行)

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

55巻10号(2018年9月発行)

特集 クリティカル・ケアを極める—一歩進んだ総合内科医を目指して

55巻9号(2018年8月発行)

特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール

55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

特集 ここさえ分かれば—輸液・水・電解質

55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

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