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文献詳細

雑誌文献

medicina2巻6号

1965年06月発行

文献概要

簡易臨床検査のやり方と評価

便の脂肪検査

著者: 河合忠12

所属機関: 1中央鉄道病院 2順天堂大臨床病理

ページ範囲:P.812 - P.812

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 糞便中の脂肪は中性脂肪,遊離脂肪酸,および脂肪酸塩の3つの形で存在し,中性脂肪と脂肪酸の割合は1:3である。食事として摂取された中性脂肪は腸内のリパーゼにより分解されて脂肪酸となる。脂肪酸は胆汁酸の助けで主として小腸の粘膜から吸収され,腸粘膜上皮で再び中性脂肪に合成されて乳糜管から体内に取り入れられる。腸内の遊離脂肪酸の一部は腸内のアルカリ土金属(カルシウム,ナトリウム,カリウム)と鹸化反応により脂肪酸塩(石鹸)を作る。正常人では便の脂肪は乾燥重量の約25〜30%を占め,ある種の疾患で便の脂肪が増加すると淡黄色の便が大量に排出される。脂肪便の診断には便の脂肪を定量する必要があるが,その前にここに記述するごく簡単なスクリーニング・テストをおこなうと脂肪便の鑑別診断に役立つ。
 やり方 少量の便を鏡検用ガラス根に約1cmの直径にぬりつけ,生理的食塩水1滴を加えて平等に混和する。これに1滴の氷酷酸と1滴の0.2%ズダンIVエタノール溶液を加え,カバー・グラスを載せる。これを低倍率で鏡検し,赤色に染まる球形の中性脂肪滴(直径数マイクロン以上のもの)を数える。この際,脂肪滴はカバー・グラスの辺縁に寄ることがあるので注意する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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