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文献詳細

雑誌文献

medicina2巻7号

1965年07月発行

文献概要

診断のポイント

血液アミラーゼの異常

著者: 菊地三郎1

所属機関: 1名大内科

ページ範囲:P.1014 - P.1016

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膵障害とは無関係の場合もありうる
 膵障害の診断に対する血液アミラーゼ測定の意義は,現在でもなおきわめて大きい。とくに急性膵炎の初期,あるいは慢性膵炎の急性発作期などでは唯一の診断根拠となる場合がはなはだ多い。しかしながら,血液アミラーゼ値の臨床的意義を解釈するにあたつてはつぎの2つの事項を念頭におく必要がある。1つは膵障害にはかならずしも血液アミラーゼ値の異常を伴わないということである。急性期ではほとんどの症例において異常上昇を認めるが,ある期間を経過すれば急速に正常化する。慢性膵炎の非発作時では多くは正常値であつて,異常低値を示すことも多くはない。その他の膵疾患ではむしろ異常値を示す場合が少なくなる。したがつて,血液アミラーゼ値は膵障害の否定材料とはなりがたいわけである。他の1つは,血液アミラーゼ量の異常は比較的に膵病変に特異的ではあるけれども,時として膵とは無関係の場合もありうることである。1938年Somogyiが血液アミラーゼの微量定量法を報告して以来,膵障害を主体としない病態においても時として血液アミラーゼ値に異常をきたすことがあるという事実はますます確実にされるにいたつた。
 急性膵炎に対する開腹手術の予後の悪いことはすでに異論の余地がない。もし,膵炎に由来しない急性腹症患者において血液アミラーゼ値の異常上昇のゆえに対症療法に終始するとすれば重大な結果をまねくこともありうるわけである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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