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文献詳細

雑誌文献

medicina2巻7号

1965年07月発行

文献概要

治療のポイント

老人性高血圧症

著者: 岸本道太12

所属機関: 1国立東京第一病院内科 2国立東京第一病院高血圧センター

ページ範囲:P.1025 - P.1027

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脳・心・腎の障害も考慮して……
 老人性高血圧の大部分は本態性高血圧であり,この病気の本態は十分には分っていないが,全身,とくに腎その他内臓の細動脈の口径の減少が血圧上昇の第一義的なものと考えられ,今まで,いくつかの昇圧物質があげられているが,その作用の場は細動脈壁であるとされている。いずれにしても,高血圧の結果,心,腎,脳を中心とした臓器に動脈硬化が助長され,それが疾患の症状として前面に出ることが多く,また,高血圧症の予後としても,これら臓器の動脈硬化性病変,すなわち,脳卒中,冠硬化(心筋硬塞),腎硬化症の合併による死亡率が高い。したがって,高血圧症の治療も単に血圧を下げるだけでなく,心,脳,腎などの臓器の障害を十分考慮して,これらの対策を講じる必要がある。むろん,血圧を降圧薬でもつて下降させることは対症療法にすぎないが,動脈硬化を助長する原因の一つが血圧上昇である以上,高い血圧を適当に下げること自体が,臓器の動脈硬化性変化の進行をゆるやかにし,予後を良好にすることになると考えている。私は国立東京第一病院高血圧センターで,高血圧症を血圧,眼底,心,脳,腎の面で精密検査し綜合的に重症度を定め,それに応じて生活,食餌の規制,降圧薬の選択を患者に指示しているので,現在行なっていることを中心として述べてみたいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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