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文献詳細

雑誌文献

medicina2巻8号

1965年08月発行

文献概要

治療のポイント

糖尿病と酒

著者: 中山光重1

所属機関: 1東京女子医大内科

ページ範囲:P.1182 - P.1183

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ウイスキーは悪くないとよく聞くが
 お酒を飲んで良いかどうかとは糖尿病患者からよく受ける質問である。それは量によると答えると,次にはお酒の中ではウイスキーがよいときくがどうかという質問である。私の診ているある患者は小料理屋に行つて飲んでいた時,同席の糖尿病の客から,ウィスキーか合成二級酒は糖尿病によいときかされ,以来もつぱら合成酒による糖尿病治療を試みていると話した者がいる。このようにウイスキーとかブランデーとかの蒸溜酒が糖尿病に賞揚されたのはずいぶん古い話で,これは別表にあるように酒の中に糖質が入つていないためである。
 明治から大正の始めにかけて,インシュリンの発見される前の時代は血糖の測定も容易なことでなかつたし,糖尿病の治療はもつぱら糖尿を無くすことに努力が払われた。糖尿を皆無にするためにはいきおい糖質を極端に制限し,糖質を含まないアルコール飲料をカロリー源として利用したのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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