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文献詳細

雑誌文献

medicina2巻8号

1965年08月発行

文献概要

正常値

血清尿素窒素

著者: 越川昭三1

所属機関: 1東京医歯大第二内科

ページ範囲:P.1254 - P.1255

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 血清尿素の濃度を表わすのに,多くの場合尿素そのものの濃度よりも尿素窒素が用いられる。それは尿素そのものの濃度よりも窒素として表現したほうが,残余窒素NPNとの関係がより明らかになり蛋白代謝の一環としてみていくうえにつごうがよいからである。尿素の分子量は60で尿素中の窒素は28であるから,尿素窒素は尿素濃度に28/60を乗じたものになる。
 尿素は細胞膜を自由に通過することができるから,だいたい全体水分量に均等に分布していると考えてよい。つまり体組織のどこをとつても尿素濃度はだいたい等しい。(例外は腎と脳であつて腎ではいちじるしく濃縮され,脳では脳血管関門によつてやや低めの濃度で存在する。)したがつて血液尿素窒素BUNも血清尿素窒素SUNも等しいはずであるが,表からもわかるようにBUNのほうが少し低い。これは赤血球中の水分が少ないことによるもので,水分あたりに換算すれば等しくなる。SUNは5〜23mg/dlという比較的ひろい範囲に分布している。それはSUNが,尿素の生成と,尿素の排泄という2つの機構のバランスのうえに成立しているものだからである。つまり尿素の生成が多くなれば当然血清尿素は高くなる。しかしこのような場合でも尿素を排泄する機構すなわち腎が正常であるかぎり,SUNが正常限界をこえてまで高くなることは,まず起こらない。この関係をもう少し詳細に見てみよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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