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出血時間測定
著者: 安部英1
所属機関: 1東大吉利内科
ページ範囲:P.1297 - P.1299
文献購入ページに移動 出血時間 出血時間とは耳たぶまたは指(通常左環指)頭にメスあるいは平たい針で切創をつけ,流出する血液を30秒ごとにろ紙で吸いとるとき,ろ紙に着く血液が漸次少なくなつてついになくなる(すなわち止血する)までの時間をいう。このさい切創の大きさおよび深さは3mm×2〜4(平均3)mm程度がよく,最初の30秒の血斑の大きさと出血時間とはかならずしも平行しない(しかし一般にはこの血斑の直径が1〜2cmのさい,検査成績もきれいで出血時間値も再現性があるので,この程度の切創がすすめられている)。正常人での値は2〜3分で,病的の場合には延長する。これはDuke法といつて通常行なわれている方法であるが,このほか前搏の血圧を一定にしてつくつた切創より出血する時間をはかるIvy法がある。この出血時間は出血部位の組織トロンボプラスチン量,皮膚の弾力性,および血中血小板の数や性能,血漿凝血因子量などによつて左右され,出血性素因の綜合的判定に不可欠の検査法である。以下出血時間測定の手技を述べるが,このほかの注意として,検査前に耳たぶをもんだり,温めたりすることは無用であるが,測定前15〜30分間,室温15〜20度のところに休ませておくことが望ましく,また食事直後では出血時間も短縮するので,できるだけ空腹時に測るようにしたい。
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