medicina2巻9号

1965年09月発行

症例 心電図の読み方と臨床（1）

見おとされた心筋硬塞症の1例

著者： 日野原重明¹

所属機関： ¹聖路加国際病院内科

ページ範囲：P.1385 - P.1388

　日本では，心臓病による死亡数や，心筋硬塞症の頻度は欧米に比べるとはるかに少ない。これは，実際に少ないのか，実地医家による発見が少なく，誤診されているためであろうか。私は，これらの頻度は，欧米よりは少ないが，私たちが思いこんでいるよりもずつと多いものと思う。心電図をタイミングよくとり，これを熟読すれば，神経痛とか，胃病とか，かるい狭心症と診断されているもののなかに，本ものの心筋硬塞が少なからず混つているものと思う。