文献詳細
文献概要
今月の主題 心筋梗塞のハイライト 治療
末梢血管拡張薬
著者: 木全心一1
所属機関: 1東京女子医科大学・日本心臓血圧研究所・内科
ページ範囲:P.58 - P.59
文献購入ページに移動心機能と前負荷との関係をGuytonは図1のようにまとめた.正常人では,右房圧が上昇すると心拍出量は,CO(N)に示したように上昇し,やがてプラトーに達する.一方,心臓に戻ってくる静脈血還流量は,VR(N)に示したように右房圧の上昇につれて減少する.CO(N)とVR(N)との交点Aで平衡に達している.心拍出量と静脈血還流量は同じなので,心臓の収縮性が低下すると,右房圧が上昇しても心拍出量があまり上昇せずにCO(F)まで低下する.VR(N)との交点Bでみると,心拍出量は正常に比してかなり低下している.このため,末梢血管が収縮したり,尿量が減少したりして,静脈血還流量が増加して,VR(F)とするので,CO(F)との交点Cでみると,心拍出量は正常に近くなっている.正常との相違は右房圧の上昇である.
静脈血還流量が上昇することは,代償機転であるが,心不全例の多くは,尿量の減少により静脈血還流量が増加し,VR(F)の曲線はさらに右による.VR(F)を右によせながらCO(F)の曲線との交点を見ていると,心拍出量の増加にはあまり貢献しないで,右房圧がどんどん上昇することになる.
掲載誌情報