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今月の主題 血小板の臨床 疾患における血小板機能
血栓症における血小板機能
著者: 田上憲次郎1
所属機関: 1東京都臨床医学総合研究所・循環器病研究部
ページ範囲:P.1706 - P.1709
文献購入ページに移動 血栓症の発症機構への血小板の関与はもはや疑問のないところであり,その直接的な基礎疾患である粥状硬化症(atherosclerosis)の発生に関しても,Duguidの説が大筋としては認められ,血小板の関与がますます重視されるに至っている.これらの点については他項で詳細に論じられよう.
しかしながら,このような血栓症において,患者の血小板の機能に何らかの異常が臨床的に把握されるに至っているかは,なお疑問である.さらに,その異常が見出されたとしても,それが血栓形成に原因的に作用しているものか,あるいは血栓形成の結果としてかかる異常を呈するに至ったものかの判断は,困難である場合が少なくない.先天的な機能欠損を示す血小板無力症やBernard-Soulier症候群などの場合は,その機能低下としての診断は比較的容易であるが,ある後天的疾患における血小板機能の亢進もしくは低下を確定するためには,正常対照群と比較しての臨床医学的な判断(疾患名,その亜型,年齢,性別による差,病期等々に対する広い判断)と検査データの推計学的な検定を経なければならないので,事は容易でない.
しかしながら,このような血栓症において,患者の血小板の機能に何らかの異常が臨床的に把握されるに至っているかは,なお疑問である.さらに,その異常が見出されたとしても,それが血栓形成に原因的に作用しているものか,あるいは血栓形成の結果としてかかる異常を呈するに至ったものかの判断は,困難である場合が少なくない.先天的な機能欠損を示す血小板無力症やBernard-Soulier症候群などの場合は,その機能低下としての診断は比較的容易であるが,ある後天的疾患における血小板機能の亢進もしくは低下を確定するためには,正常対照群と比較しての臨床医学的な判断(疾患名,その亜型,年齢,性別による差,病期等々に対する広い判断)と検査データの推計学的な検定を経なければならないので,事は容易でない.
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