icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina20巻11号

1983年11月発行

文献概要

今月の主題 各種病態における抗生物質の使い方 各種疾患から検出される細菌の動向

血液培養から検出される細菌

著者: 紺野昌俊1

所属機関: 1帝京大学医学部・臨床病理

ページ範囲:P.1912 - P.1913

文献購入ページに移動
感染症の起炎菌の推移
 血液培養から検出される細菌は,化学療法の発達普及に伴う耐性菌の推移,さらにはそれらの耐性菌出現に伴う感染症の推移そのものを表現しているといわれる.
 事実,感染症の推移は,諸家の報告によれば,年度に多少の相違はあれ,肺炎球菌や化膿連鎖球菌,あるいは赤痢菌などによる,いわゆる古典的な強毒菌による感染症の時代を経て,戦後は,サルファ剤耐性の赤痢菌の流行の時代,1960年代には,ペニシリン,テトラサイクリン,クロラムフェニコールなどの使用にともなう多剤耐性ブドウ球菌による感染症が重要視された時期もあるが,1970年代では,グラム陰性桿菌による感染症が重要視され,それも大腸菌やクレブシェラなどのいわゆる腸内細菌属による感染症,次いで緑膿菌による感染症,セラチアによる感染症,あるいはブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌による感染症など,いわゆる現存する抗生物質に耐性の弱毒菌による日和見感染症などが,それぞれの時代の変遷とともに注目されてきた.そして,現在における起炎菌の変遷のもう1つの特徴は,抗生物質の発達とともに,その変遷する起炎菌のサイクルが加速度的に速まっているということにある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?