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文献詳細

雑誌文献

medicina20巻12号

1983年12月発行

臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント

I.感染症 抗生物質の的確な使用

6.S-T合剤

著者: 北原光夫12

所属機関: 1東京都済生会中央病院・内科 2慶応義塾大学医学部・内科

ページ範囲:P.2076 - P.2077

文献概要

 S-T(Sulfamethoxazole-Trimethoprim)合剤は抗菌物質であって,sulfa剤とtrimethoprimの一定の組み合わせは,明らかにいずれかの1剤よりも抗菌力は優れている.S-T合剤は細菌の菌体内でおこなわれる葉酸合成阻害剤であり,sulfa剤はパラアミノベンゾイック酸とプテリジンの合成過程を阻止し,かつジヒドロ葉酸からテトラヒドロ葉酸への過程をtrimethoprimが阻害する(図).人間の細胞ではこの葉酸合成の経路をもっていないので,S-T合剤を服用している間は葉酸欠乏状態になることはまずありえない.
 S-T合剤は80mgのtrimethoprimと400mgのsulfamethoxazoleを混ぜあわせた化学療法剤であり,trimethoprimとsulfamethoxazoleの比は1対5となっており,この比がもっとも優れた相乗作用を感受性菌に対して示すといわれる.S-T合剤を経口的に投与すると,急速に腸管から吸収されて,血中最高濃度はtrimethoprimでは1.0μg/ml,sulfaは20μg/mlとなる.治療的濃度は髄液中,前眼房水中,中耳滲出液中,下気道分泌液中に十分得られる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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