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臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント II.神経・筋疾患 手術的治療
38.正常圧水頭症に対するシャント術の適応と効果
著者: 米増祐吉1
所属機関: 1旭川医科大学・脳神経外科
ページ範囲:P.2154 - P.2155
文献購入ページに移動 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus,NPHと略)とはHakim(1964年),Adamsら(1965年)が治療可能な痴呆として報告した病態あるいは症候群である.不治の脳の変性あるいは老化として放置されていた状態が,比較的簡単な手術でほとんど治癒する場合もあるということで注目されてきた.
Adamsらの発表以来,かなり積極的に手術が行われた結果,シャントの有効率が必ずしも期待されていたほどでなく,ことに先行疾患が不明で特発性とされる症例ではシャント有効率は40〜60%という状態で,そのうえ合併症,死亡率も患者が高齢であることが多いため比較的高く,シャント手術の効果の予測が重要な問題になっている.病態生理,症状の発現機序についても多くの報告があるが,不明の点が多く,病態の複雑さを示唆している.補助検査法も種々の方法が試みられている.CT検査は気脳写に代わり,非侵襲的という意味で大きい進歩であるが,病態の理解,シャント効果の予測の目的には決定的といえない.その他の補助検査についても見解の一致をみるに至っていない2).
Adamsらの発表以来,かなり積極的に手術が行われた結果,シャントの有効率が必ずしも期待されていたほどでなく,ことに先行疾患が不明で特発性とされる症例ではシャント有効率は40〜60%という状態で,そのうえ合併症,死亡率も患者が高齢であることが多いため比較的高く,シャント手術の効果の予測が重要な問題になっている.病態生理,症状の発現機序についても多くの報告があるが,不明の点が多く,病態の複雑さを示唆している.補助検査法も種々の方法が試みられている.CT検査は気脳写に代わり,非侵襲的という意味で大きい進歩であるが,病態の理解,シャント効果の予測の目的には決定的といえない.その他の補助検査についても見解の一致をみるに至っていない2).
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