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臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント XII.癌 内科領域の固型癌の化学療法の実際
227.手術不能例の化学療法の実際と限界—無意味な投薬をさけるために
著者: 栗原稔1 佐々木容三2 泉嗣彦2
所属機関: 1昭和大学付属豊洲病院・内科 2順天堂大学医学部・内科
ページ範囲:P.2604 - P.2606
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78歳男性.下血を主訴に来院.注腸造影(図1)で,S状結腸の巨大腫瘤による口側への造影剤通過障害を認めた.慢性腎不全と本人の手術拒否のため,図2に示すような抗癌化学療法にふみきった.FT-207(Futraful®)坐薬で,嘔気,食欲不振が生じたが,Futraful®腸溶粒の長期間投与で腫瘤の触知消失,便通も正常化,治療開始後8カ月の注腸造影(図3)で腫瘤の著明縮小を認め,口側も造影された.約1年4カ月の軽快期間後,再び腫瘤を触知,図示するような併用治療で腫瘤は触知不能となったが,再び徐々に悪化,全経過2年4カ月で死亡した.
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