文献詳細
臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
XII.癌 内科領域の固型癌の特殊な治療法
文献概要
肝臓癌は本邦や東南アジアに多発する悪性腫瘍で予後不良の疾患である.治療としては,近年の外科学の進歩に伴い,果敢に肝切除術が行われ,その治療成績の向上がみとめられるが,必ずしも満足すべきものではない.日本肝癌研究会の報告によれば1,2),1年生存率28%,3年生存率18%にすぎない.これらの成績は切除可能例に対するものであり,90%にのぼる切除不可能例に対しては肝動脈結紮術や肝動脈内抗癌剤投与が行われてきたが,それらの成績はさらに不良である1,2).
筆者らは1977年から肝臓癌に対し肝動脈塞栓術を施行し,本法が肝臓癌に対する治療として,従来の治療法よりはるかに良好であるとの成績を得ているので,その実際について述べる.肝臓は図のごとく門脈と肝動脈の二重支配を受けているが,肝臓癌はほぼ100%肝動脈栄養由来とされるので3),肝動脈の塞栓により肝癌組織のみが選択的に壊死に陥るわけである.
筆者らは1977年から肝臓癌に対し肝動脈塞栓術を施行し,本法が肝臓癌に対する治療として,従来の治療法よりはるかに良好であるとの成績を得ているので,その実際について述べる.肝臓は図のごとく門脈と肝動脈の二重支配を受けているが,肝臓癌はほぼ100%肝動脈栄養由来とされるので3),肝動脈の塞栓により肝癌組織のみが選択的に壊死に陥るわけである.
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