文献詳細
文献概要
今月の主題 呼吸不全—その実態と治療 治療
機械的人工呼吸
著者: 天羽敬祐1
所属機関: 1東北大学医学部・麻酔科
ページ範囲:P.410 - P.411
文献購入ページに移動人工呼吸をいつ開始するか
呼吸不全は一つの症状であって,疾患そのものではない.さまざまな疾患が呼吸不全の背景因子となりうるわけである.たとえば,急性左心不全による肺水腫,外傷後の呼吸不全,あるいは敗血症による急性呼吸不全など,原因は実に多彩である.したがってこれらに共通した人工呼吸の開始基準を決め,それに基づいて人工呼吸の適応を決めることはきわめて困難である.しかし具体的な開始基準をしいてあげるとすれば表のようになろう.これらのうち1つでもあれば人工呼吸の適応を考えたほうがよい.ただしこれらの条件はあくまで一応の目安であって,呼吸数が35だから適応はないとか,42回だから適応があるというような厳格なものではない.また例外もある.たとえば慢性の肺疾患患者では,通常の人では耐えられないようなPao2の低下やPaco2の上昇に案外平然としていることがある.各種の代償機転の働きによるものだが,このような場合も表の条件には当てはまらない.
結局現時点における人工呼吸の適応は,呼吸不全の背景にある原疾患,患者の心肺予備力や年齢,血液ガス所見などを参考に総括的な見地から決めるのが最も合理的である.
呼吸不全は一つの症状であって,疾患そのものではない.さまざまな疾患が呼吸不全の背景因子となりうるわけである.たとえば,急性左心不全による肺水腫,外傷後の呼吸不全,あるいは敗血症による急性呼吸不全など,原因は実に多彩である.したがってこれらに共通した人工呼吸の開始基準を決め,それに基づいて人工呼吸の適応を決めることはきわめて困難である.しかし具体的な開始基準をしいてあげるとすれば表のようになろう.これらのうち1つでもあれば人工呼吸の適応を考えたほうがよい.ただしこれらの条件はあくまで一応の目安であって,呼吸数が35だから適応はないとか,42回だから適応があるというような厳格なものではない.また例外もある.たとえば慢性の肺疾患患者では,通常の人では耐えられないようなPao2の低下やPaco2の上昇に案外平然としていることがある.各種の代償機転の働きによるものだが,このような場合も表の条件には当てはまらない.
結局現時点における人工呼吸の適応は,呼吸不全の背景にある原疾患,患者の心肺予備力や年齢,血液ガス所見などを参考に総括的な見地から決めるのが最も合理的である.
掲載誌情報