文献詳細
文献概要
今月の主題 呼吸不全—その実態と治療 リハビリテーション
呼吸不全患者のリハビリテーション—具体的に何をすべきか
著者: 千野直一1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部・リハビリテーション科
ページ範囲:P.420 - P.421
文献購入ページに移動 呼吸不全のリハビリテーション(以下リハビリと略)の具体的方法を述べるにさきだち,呼吸不全による「障害」はどのようなものであるかを知らなければならない.1980年にWHOは国際疾病分類の姉妹編ともいうべき「国際障害分類」を発表した.すなわち,今まで障害ということばで漠然ととらえられていたものをimpairment(機能障害),disability(能力障害),handicap(社会的不利)という層に分けて考えるものである.つまり,呼吸不全により肺胞でのガス交換に障害をきたすことがimpairmentであり,息ぎれのために歩行不能になることはdisability,また長期入院のために職場をやめてしまうことはhandicapといえよう.
呼吸不全のリハビリは上に述べた3層のすべてのレベルでの障害に対処すべきものでなければならない.すなわち,肺胞でのガス交換を容易にするためには,気管支拡張剤とあわせて呼吸運動や喀痰の体位性排泄がなされ,息ぎれのために歩行が十分できないときには,トレッドミルなどを用いた全身の持久力運動が必要であり,また,適切な職業の撰択や職場復帰に関しては患者や家族の相談に応じて社会的不利を克服することなどである1).
呼吸不全のリハビリは上に述べた3層のすべてのレベルでの障害に対処すべきものでなければならない.すなわち,肺胞でのガス交換を容易にするためには,気管支拡張剤とあわせて呼吸運動や喀痰の体位性排泄がなされ,息ぎれのために歩行が十分できないときには,トレッドミルなどを用いた全身の持久力運動が必要であり,また,適切な職業の撰択や職場復帰に関しては患者や家族の相談に応じて社会的不利を克服することなどである1).
掲載誌情報