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文献詳細

雑誌文献

medicina20巻5号

1983年05月発行

文献概要

今月の主題 水と電解質 電解質異常の実際

高Na,低Na血症

著者: 野中達也1 清水倉一1

所属機関: 1東京大学医学部・第1内科

ページ範囲:P.720 - P.723

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血清浸透圧(Na濃度)と体液量
 血清ナトリウム(Na)濃度の異常は細胞外液のバランスの乱れを示唆する一徴候である.低Na血症や高Na血症を呈する疾患では,Na・水代謝系という2つの系の変動の総合的結果として細胞外液の浸透圧異常(Na濃度異常)や細胞外液量異常が現れるのである.大切なのは同じ低Na血症(または高Na血症)でありながら細胞外液量については増加・不変・減少の種々の場合があり,低(高)Na血症すなわち体内Na欠乏(過剰)とはいえない点にある.つまり,血清Na濃度自体は必ずしも体内総Na量を反映せず,体内総水分量との相対的増減を示す指標にすぎない.一般に血清Na濃度は次式に示すごとく,Nae,Ke,TBWの3者の相関で決まることが知られている1)
 血清Na濃度∝Nae+Ke/TBW
 Nae:体内交換性Na量,Ke:体内交換性K量,
 TBW:体水分量
 図にいくつかの疾患における体囚総Na量と総水分量の変動を,正常との比較において概念的,便宜的に示す(正しくは,前述のようにNae+KeとTBWを比較すべきである.たとえばNaeとTBWが正常でもKeが減少すれば低Na血症となりうる).体内総Na量と総水分量の大小関係が血清Na濃度に反映するが,各疾患によりそれらの絶対値が大幅に異なることが明らかであろう.体内Na量の増減を査定することは重要であり,それがそのまま鑑別診断や輸液方針につながる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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