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文献詳細

雑誌文献

medicina20巻5号

1983年05月発行

文献概要

今月の主題 水と電解質 電解質異常の実際

Cl,Anion gapの異常

著者: 前波輝彦1 石田尚志2

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学・第1内科 2聖マリアンナ医科大学

ページ範囲:P.736 - P.738

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□Clについて
 Clは成人男子で体重1kgにつき約33mEq含まれている.したがって,体重60kgの場合大体2,000mEq存在しているわけである.これらの70%が細胞外液中に分布しているが,その中の一部は結合組織,とくにコラーゲン線維と結合していることが明らかにされている.細胞内分布の中ではとくに赤血球に多いことが特徴的である.血清Cl値は報告によりかなりのバラツキがみられるが,大体95〜105mEq/lで,組織間液にはGibbs-Donnan効果により血清より少し余計にClが含まれている.一方,Clは消化液中に比較的多く含まれ,1日の消化液分泌を考えるとかなりの量が消化管に分泌されていることになる.C1の摂取量は大体Naと同じで,汗と便にごく一部が排泄されるだけで,ほとんどが尿に排泄されている.糸球体で濾過されたClの99%以上は尿細管で再吸収される.C1は陽イオンであるNaとともに細胞外液中に存在する一番多い陰イオンなので,再吸収の様相は一般にNaの再吸収と関連して説明されている.ClはNaとともに近位尿細管,ヘンレの上行脚,遠位ネフロンで再吸収されるが,ヘンレの上行脚の太い部分ではClが能動的に再吸収されることが最近明らかにされた.Clのネフロンにおける転送の様相について大筋はわかっているが,なお不明の点が残されている.
 Clの代謝あるいはその異常について次の諸点が特徴的である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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