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文献詳細

雑誌文献

medicina20巻6号

1983年06月発行

グラフ 臨床医のための電顕写真

血液・2

急性前骨髄球性白血病

著者: 小川哲平1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部・内科

ページ範囲:P.974 - P.978

文献概要

 急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia, APL)は,末梢血および骨髄が異常な前骨髄球で占められ,著明な出血傾向と低フィブリノゲン血症を伴って,急激な経過をとり,出血の著しい急性白血病の特殊な型のものとされていた.しかし近年抗白血病剤の使用とともに,汎発性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation,DIC)に対するヘパリン療法によりその治療成績は著しく向上し,寛解率も60%を越えるに至った.このAPLの白血病細胞は不整形の核を示し,多数のペルオキシダーゼ陽性顆粒を有する.粗大な大型のアズール顆粒を有するのが特徴的と考えられていたが,小型の顆粒のものも報告されるようになり,アウエル小体の束faggot(bundles of slender Auer rods)の発見が重要となった.またt(15q+,17q-)の染色体異常を示すなど特異な点が多く,比較的に稀なものと考えられていたが,FAB分類ではM3とされ,非リンパ性急性白血病の約11%を占め,しばしば見られる急性白血病である.さらに抗白血病剤の使用とともに汎発性血管内凝固(DIC)に対するヘパリン療法など他種の白血病と異なった特有の治療法があるため,その診断は重要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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