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文献概要
今月の主題 不整脈のトピックス 不整脈の基礎
Caイオンと不整脈
著者: 有田真1
所属機関: 1大分医科大学・生理学
ページ範囲:P.1070 - P.1072
文献購入ページに移動 心筋の興奮に際し,カルシウムイオン(Ca2+)が細胞外から細胞内に流入し,収縮発生の引き金(E-C coupler)となることはよく知られている.Ca2+はそれ自体がcharge carrierであるから,その細胞内流入はいわゆるslow inward current(Isi)の発生を意味し,これが活動電位第2相(プラトー相)を形成する1).また細胞内外のCa2+濃度の変化はIsiに影響を与えるのみでなく,他のイオン(Na+,K+)の膜透過性を変化させるので,心筋細胞膜の電気的活動性や細胞間の電気的結合に複雑な変化をひき起こす.
ところで臨床的にCa2+動態を知る最も簡便な指標は血清Ca濃度の変化であろう.血清中の総Ca濃度の正常値は2.1〜2.6mM/L(8.5〜10.5mg/dl)である.しかしこのうち約40%は血清蛋白,約4%はクエン酸などと結合しているため,生理的活性を発揮するCaイオン(Ca2+)の形で存在するのは1.2〜1.5mM/Lと推定される(Ca2+電極による実測では1.14mM).そこで本稿では,この血清Ca濃度と不整脈の因果関係について述べてみたい.
ところで臨床的にCa2+動態を知る最も簡便な指標は血清Ca濃度の変化であろう.血清中の総Ca濃度の正常値は2.1〜2.6mM/L(8.5〜10.5mg/dl)である.しかしこのうち約40%は血清蛋白,約4%はクエン酸などと結合しているため,生理的活性を発揮するCaイオン(Ca2+)の形で存在するのは1.2〜1.5mM/Lと推定される(Ca2+電極による実測では1.14mM).そこで本稿では,この血清Ca濃度と不整脈の因果関係について述べてみたい.
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