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境界領域 転科のタイミング
自然気胸と膿胸
著者: 益田貞彦1
所属機関: 1東京逓信病院・第2外科
ページ範囲:P.1596 - P.1599
文献購入ページに移動自然気胸の治療の基本は,内科的(保存的)治療にしろ外科的治療にしろ,肺を膨張させて再発を防止することであり,穿孔部位の修復と胸膜間の癒着をはかることは双方に共通した方針である.意見が異なるのは手術適応とする症例の割合であろう.
良性疾患であるだけに,内科は可能ならば外科的侵襲を加えずに保存的に治療したいと願う.もちろん患者の願望もそうであろうということで,再発率は高くとも穿刺脱気,胸腔ドレナージ,胸膜刺激剤注入をくり返し,保存的に粘るわけである.これに反し外科側は,保存的治療も十分に認識していながら,若い時期に再発ゆえに何回も入院をくり返し,いたずらに時間を浪費するよりも,早期に再発率の低い外科治療で完治させることを主張する.そこにcontroversyの発生するゆえんがある.
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