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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻10号

1984年10月発行

臨床メモ

尿路感染症(1)

著者: 北原光夫12

所属機関: 1東京都済生会中央病院・内科 2慶応義塾大学医学部・内科

ページ範囲:P.1869 - P.1869

文献概要

 尿路感染症をひき起こす細菌は大部分が上行性感染であるが,比較的稀に血行性に感染を起こしてくるものもある.血行性のものは菌血症の結果であり,Staphylococcus aureusが最も多い.したがって,尿路系に限局性膿瘍(腎膿瘍など)を形成するために尿培養が陽性となる.このような血行性のものは5%以下にすぎない.つまり,95%以上の尿路感染症は上行性である.女性における尿路感染症は,便中の細菌叢をなすEnterobacter-iaceae中で最も多いEscherichia coliが,腟あるいは尿道周囲にcolonizationを起こすことから始まる.しかし,必ずしもすべての女性が尿路感染症を起こすのではない.尿路感染を起こしやすい女性とそうでない女性とでは,宿主側に何らかの相違が存在するのではないかと考えられている.ある報告では,感染症を起こしやすい女性の腟上皮細胞に,病原性E.coliが付着しやすいという.また,他の報告では,局所的な抗体産生が十分行われていないとしている.
 一度細菌がcolonizationを起こすと,尿道の短い女性では膀胱へ容易に細菌が侵入してゆく.とくに性行為のある年代の女性では,行為中に尿道へ細菌が入り,膀胱へ至ると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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