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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻11号

1984年11月発行

文献概要

講座 図解病態のしくみ びまん性肺疾患・11

肺循環障害—肺性心を中心に

著者: 保高和子1 堀江孝至1

所属機関: 1日本大学医学部・第1内科

ページ範囲:P.2029 - P.2035

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 心血管系の主な部位における血圧を図1に示した.体循環系は大動脈から最終的に右心房へと流れるが,平均血圧は100torrから2torrへと98torr変化している.一方,肺循環系は肺動脈から左心房へと流れるが,その間の圧変化は約10torrにしかすぎない.このような肺循環系での圧変化が著しく少ないことはR(血管抵抗)=P(圧差)/Q(血流量)の関係からわかるように,血流に対する血管抵抗が著しく低いことを表している(血流量は肺循環系=体循環系).
 われわれが安静状態から歩き,さらに走りはじめると運動の程度に応じて組織で消費される酸素量が増加する.その増加に対応して換気量が増し,同時に心拍出量の増加が起こる.このような労作時の心拍出量の増加に伴い,体循環系では血圧の増加が観察される.しかし,右心カテーテル法で測定される肺動脈圧はほとんど変動しないことが知られている.また,たとえば肺癌で一側肺切除を行うような症例に対してカテーテルを肺動脈内に挿入し,患側肺の肺動脈をバルーンをふくらませて閉塞する試験が行われる.このとき,患側肺への血流は完全に杜絶され,血液は健側肺に流れこむことになる.しかし,健側肺が正常であれば肺動脈圧はほとんど変化しないことが示されている.(実際に肺動脈圧の上昇を招くには心拍出量が3倍以上に増加する必要があるといわれる.)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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