文献詳細
文献概要
臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集 Ⅶ.免疫血清検査
61.CRP(C反応性蛋白)
著者: 松田重三1
所属機関: 1帝京大学医学部・第1内科
ページ範囲:P.2238 - P.2239
文献購入ページに移動CRP(C-reactive protein,C反応性蛋白)は発見当初,肺炎双球菌感染症の特異的診断に有用な病的蛋白と認識されたが,現在では各種の炎症性疾患および組織崩壊性疾患で非特異的に増加する,いわゆる急性相反応性物質(acute phase reactant)に属する血漿蛋白成分の一種であると理解されている.従来,CRPは健常者には全く存在しない異常蛋白と考えられたが,近年に至り,正常者血中にも微量(68〜8,200ng/ml)存在することが確認された.
正常血漿蛋白成分であるCRPが,なぜ炎症性あるいは組織崩壊性疾患で著明に増加するかについては不明であるが,非特異的なオプソニン作用を通じて生体防衛に有用性を発揮しているものと推察するのが妥当であろう.すなわち,炎症あるいは組織崩壊によって血中に遊離する組織由来のムコ多糖体は疎水性で沈降性を示し,網内系で代謝をうけがたい.この際,増加したCRPが,多量のムコ多糖体に結合してこれを親水性とし,肝,脾に運搬して速やかに代謝をうけやすくし,ムコ多糖体を無害化しているのであろう.さらには,細菌などの病原微生物の侵入に対して,CRPはこれら異物にオプソニンのごとく効率的に結合し,しかも補体系の主として古典的経路(classical pathway)を活性化して,微生物が好中球,単球,マクロファージにたやすく貧食されるように機能している.
掲載誌情報