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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻12号

1984年12月発行

臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集

Ⅷ.血液化学検査

102.尿素窒素

著者: 林康之1

所属機関: 1順天堂大学医学部・臨床病理学

ページ範囲:P.2342 - P.2343

文献概要

異常値を示す疾患
 血清尿素窒素の上昇(低下)する疾患を表に示した.高齢者の腎動脈硬化症による高窒素血症は正常値上限(20mg/dl)をわずかに越える程度(20〜35mg/dl)のまま変動していることが多い.逆に乳幼児,ことに10歳以下の腎炎では尿素窒素の上昇は頻度が低い.小児科領域での急性腎炎は,尿素窒素より尿所見の推移が経過観察の目的には適しているといえる.この年齢により尿素窒素の上昇頻度が同じ腎障害であっても異なる点は注意する.尿素窒素の上昇は基本的に機能するネフロンの数と,体内合成尿素量とのバランスであり,ネフロンの機能が低下しても生成尿素量が比較的少なければ血中停滞は起こらない.この状態が小児であり,成人の場合はこの逆であると考えることができよう.したがって,成人,ことに高齢者ではわずかな腎障害でも上昇する頻度は高い.
 また,大手術後はしばしば尿素窒素の上昇をきたすが,上腹部臓器の手術後にみられる高窒素血症は単なる腎機能低下のみでなく,蛋白異化の亢進もかなり大きな原因となっている.膵壊死,消化管の大出血後や上腹部膿瘍,縫合不全などにみられる高窒素血症は,腎機能不全と考えられる他の所見がなくとも40〜100mg/dl前後の値を示し得るのである.逆に蛋白同化の亢進は異常低値を示すことになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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