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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻12号

1984年12月発行

臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集

Ⅷ.血液化学検査

112.Na(ナトリウム)

著者: 湯浅繁一1 飯田喜俊2

所属機関: 1香川医科大学・第2内科 2大阪府立病院・腎疾患センター

ページ範囲:P.2372 - P.2374

文献概要

異常値を示す疾患
 通常,血清Na濃度は135〜150mEq/lの間にあり,134mEq/l以下を低Na血症,151mEq/l以上を高Na血症と呼んでいる.血清Na濃度の変化は細胞外液におけるNaと水のバランスによって決定され,低Na血症とはNaに比して水が多い状態,すなわち低浸透圧血症hypotonicityの状態であり,逆に高Na血症はNaに比して水が少ない状態,高浸透圧血症hypertonicityの状態である.臨床上,低Na血症は頻繁にみられるが,高Na血症はそれ程多くみられるわけではない.これは尿濃縮・希釈力障害に対する防御反応の差であり,希釈障害が強い場合には1〜2lの水分摂取量でも容易に低Na血症を引き起こす.この際血漿浸透圧の低下により口渇中枢が抑制されるが,この程度の水分摂取は日常行っている量であり,低Na血症の進展を防ぐためには強制的な水分制限が必要となってくる.一方,尿濃縮力障害の場合には,血漿浸透圧の上昇により口渇機序が有効に働いて高Na血症の進展が阻止される.このため高Na血症が高頻度にみられるのは,水分摂取が自由に行えない乳幼児や高齢者,意識障害などの症例である.例えば,完全な中枢性尿崩症例では1日に10l以上の尿量がみられるが,口渇中枢の刺激により水分摂取が促されるため,著明な高Na血症に至ることは少ない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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