icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina21巻12号

1984年12月発行

文献概要

臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集 Ⅷ.血液化学検査

113.K(カリウム)

著者: 飯田喜俊1

所属機関: 1大阪府立病院・腎疾患センター

ページ範囲:P.2375 - P.2377

文献購入ページに移動
異常値を示す疾患
 身体の総K量は成人でだいたい3,000mEqで,主として細胞内に分布し,細胞外には約2%,60mEqが含まれているにすぎない.その濃度についても血清K値が3.6〜5.5mEq/lであるのに対し,細胞内Kは110〜150mEqとはるかに高値である.したがって,血清Kのいかんが必ずしも体内のKバランスを示しているのでなく,表に示すごとく,血清K値と体内総K量とが必ずしも平行していない.それゆえ,血清Kが異常を示す場合には,常にKバランスを考え,病態を正しく判断して対処することが大切である.
 正常では摂取されたKの85〜90%が腎から排泄される.それゆえ,腎に異常があると血清K値の異常をきたしやすい.とくに慢性腎不全末期や急性腎不全乏尿期などでは腎のK排泄が著しく低下し高K血症を生じる.異化作用や代謝性アシドーシスがあると,これが一層著しくなる.一方,急性腎不全の利尿期,慢性腎盂腎炎や尿細管性アシドーシスなどでは腎のK保持能が失われて低K血症をきたしやすい.また,Na負荷時やアルカローシスでKの排泄が増加し,副腎皮質ステロイドの使用,アルドステロン症あるいはサイアザイド剤など利尿剤を長期使用した場合にもKが失われ,低K血症をきたす.これに反し,抗アルドステロン剤であるスピロノラクトンの使用ではKの排泄が減少して高K血症をきたしやすい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?