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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻12号

1984年12月発行

臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集

Ⅷ.血液化学検査

116.P(無機リン)

著者: 尾形悦郎1

所属機関: 1東京大学医学部・第4内科

ページ範囲:P.2382 - P.2383

文献概要

異常値を示す疾患
 血清あるいは血漿無機リン酸濃度の異常をきたす疾患を表に示す.血清あるいは血漿中のリン酸は,無機リン酸のほか,エステル型リン酸,リン脂質などの形で存在し,血漿中の総リンは12mg/100mlに達する.しかし,通常は無機リン酸の元素リンの量を血清リン(P)として表現している.高P血症をきたすもっとも多い疾患は腎不全である.甲状腺中毒症,先端肥大症の活動期にも高P血症となる.ビタミンD中毒症でも高P血症となることがある.ビタミンDそれ自体は血清Pを上昇させるように作用するが,同時にみられる高Ca血症は血清Pを低下の,一方高Ca血症に由来する腎障害は上昇の影響を示すので,これら病態のバランスにより,血清P値はいろいろの値をとる.抗腫瘍剤などにより白血病,とくに慢性白血病を治療する際に大量の白血病細胞の崩壊が起こると,細胞内から大量のPが遊離し,高P血症となり,その二次的結果として低Ca血症が起こってくる.副甲状腺ホルモンの作用の低下によっては低Ca血症とともに高P血症が起こってくる.
 血清Ca濃度に上昇がみられず,しかも低P血症が長期間つづくと,くる病あるいは骨軟化症が起こる.逆にくる病あるいは骨軟化症においては,一部の病態(hypophosphatasiaなど)を除いて,いずれも著しい低P血症がみられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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