臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅺ.腎機能検査
169.チオ硫酸ナトリウムクリアランス(Cthio)
著者:
永瀬宗重1
東條静夫1
所属機関:
1筑波大学臨床医学系・内科
ページ範囲:P.2512 - P.2513
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チオ硫酸ナトリウム,イヌリン,マニトールなどの物質は,自由に糸球体を通過し,かつ尿細管での再吸収や分泌が行われないことからglomerular substanceとよばれ,これらの物質の腎クリアランスを測定することは,とりもなおさず糸球体濾過値(GFR)を求めることとなる.このうちチオ硫酸ナトリウムは,本来還元剤として用いられている薬物であり,副作用が少なく,ヨード澱粉反応によって滴定されるため,定量が容易であり,同時に測定されることの多いCPAHの比色定量にも影響を与えないため,GFRの比較的正確な指標として多用されている.GFRの指標として最も頻用されるのは,前項(p. 2510)のCcrであるが,non-creatinine chromogenや尿細管からの排泄などの問題があるために,正確さの点ではCthioの方が優れている.よって治療効果の判定や妊娠の可否などの,より正確なGFRの把握が必要とされる場合には,是非ともCthioを測定することが望ましい.
Cthioおよび次項(p. 2514)のCPAHは外因性物質のクリアランスであるゆえ,経静脈的に投与しなければならず,1回静注,自然排尿による簡易法と,点滴静注,留置カテーテルによる導尿の標準法がある.簡便さの点で前者が用いられることが多いが,正確さの点で後者がすぐれている.