文献詳細
臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
XIII.細胞診
文献概要
Lejeunes(1959年)がDown症候群の21トリソミーを報告してから四半世紀を経て,臨床における染色体研究はいまや日常臨床検査の一環として不可欠の存在となった.対象も個体レベルにおける先天異常の診断に止まらず,白血病の診断や予後の判定など疾病レベルまで多岐にわたり,深く臨床各科領域に浸透する一方,分染法の開発・進歩により最近では著しく分析精度が向上し,微細な異常まで見出されるようになった.その結果種々な染色体異常疾患が独立疾患として確認され,また疾病レベルにおいても染色体検索の意義はますます重視されるに至った.このように,まさに日進月歩の発展を示しているが,現段階において臨床上検査適応と考えられている主な対象としては,①染色体異常を疑わせる先天異常,②性分化異常,③原発性無月経,④不妊症,⑤精神智能遅滞や⑥染色体切断症候群,⑦白血病などがあげられるが,そのほかに⑧習慣性流早産や染色体異常児出産既住歴のある夫婦について転座染色体保因の検索,また⑨流早死産の原因検索を目的として行われる.さらに最近では,⑩出生前診断として羊水細胞の染色体検査も行われており,次第に普及の傾向にある.このように適応範囲はかなり広いが,一応これらを念頭において各項につき概説する.
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