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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻13号

1984年12月発行

Current topics

今日の感染性腸炎—駒込病院の集計を中心として

著者: 増田剛太1 楊振典1 根岸昌功1 清水長世1

所属機関: 1東京都立駒込病院・感染症科

ページ範囲:P.2708 - P.2717

文献概要

 人々が日常生活で下痢を訴える機会は少なくないが,その多くはきわめて軽症であり,医療機関を受診するまでもなく,原因不明のまま自然に治癒する.しかし一方で,下痢,腹痛や発熱などの臨床症状が強く,腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus),サルモネラ(Salmonella sp.:本文ではチフス菌,パラチフス菌A,B以外のサルモネラを指す)やカンピロバクター(Campylobacter jejuni/coli)などの下痢起因菌が糞便から分離される症例は少なくないし,また,法定伝染病の原因菌の1つである赤痢菌(Shigella sp.)が検出されることも,とくに海外旅行者例ではまれではない.さらに,航空路網の発達とともに諸外国との交流がきわめて盛んとなった今日,日本からの海外渡航者数は増加の一途をたどり,たとえば1983年には年間420万人余を数え,さらに来日外国人数も約190万人となった.しかも,これら出国日本人の半数近くがアジア地域への旅行者で,また入国外国人の半数以上がアジア各地からの旅行者である(第23回出入国管理統計年報,法務省).赤痢菌,コレラ菌(Vibrio cholerae 0-1)や毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic Escherichia coli:ETEC)などの汚染地域であるこれら熱帯,亜熱帯地方からの入国者数の増加は,必然的にこれら菌種による患者数の増加をもたらす.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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