文献詳細
ベッドサイド 臨床医のための臨床薬理学マニュアル
文献概要
薬物体内動態は各個人で差異があろため,薬物の各患者での至適投与設計を必要とするが,特に有効血中濃度域の狭い薬物や薬物血中濃度-効果関係が急変するような場合,特に必要とされる.この治療目的は,その投与量・投与間隔を各個人の薬物動態に応じて調整することにより可能であるが,今回のテーマであるTCA(三環系抗うつ剤)の場合,必ずしもこのアプローチが成功するとは限らない.その理由としては,第1に,TCA血中濃度とその臨床抗うつ治療効果との相関に基づく"有効血中濃度域"自体に問題あるからである.
多くの臨床報告,臨床試験から表1に示したような"有効血中濃度域"が各TCAについて提唱されており,また各種の型の血中濃度-臨床効果関係が各薬物で報告されている(例えば,nortriptylineのcurvilinearないしはU-shapeや,imipramineのlinear型,等1,2)).しかし,各データはあいまい,かつ結論の一貫性を欠き,血中濃度モニタリングが実際に有益であるという考えを支持しないものもかなりある2).これらのデータはその臨床試験の方法に種々の相違があり,一概に比較することは難しく,また同一グループの研究でもプラシボに対する反応(placebo response)やうつ状態自身の自然緩解,等の影響を正しく評価することは容易なことではない3).
多くの臨床報告,臨床試験から表1に示したような"有効血中濃度域"が各TCAについて提唱されており,また各種の型の血中濃度-臨床効果関係が各薬物で報告されている(例えば,nortriptylineのcurvilinearないしはU-shapeや,imipramineのlinear型,等1,2)).しかし,各データはあいまい,かつ結論の一貫性を欠き,血中濃度モニタリングが実際に有益であるという考えを支持しないものもかなりある2).これらのデータはその臨床試験の方法に種々の相違があり,一概に比較することは難しく,また同一グループの研究でもプラシボに対する反応(placebo response)やうつ状態自身の自然緩解,等の影響を正しく評価することは容易なことではない3).
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