icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina21巻13号

1984年12月発行

文献概要

ベッドサイド 臨床医のための臨床薬理学マニュアル

三環系抗うつ剤

著者: 辻本豪三1 越前宏俊2 石崎高志2

所属機関: 1山梨医科大学 2国立病院医療センター

ページ範囲:P.2734 - P.2741

文献購入ページに移動
 薬物体内動態は各個人で差異があろため,薬物の各患者での至適投与設計を必要とするが,特に有効血中濃度域の狭い薬物や薬物血中濃度-効果関係が急変するような場合,特に必要とされる.この治療目的は,その投与量・投与間隔を各個人の薬物動態に応じて調整することにより可能であるが,今回のテーマであるTCA(三環系抗うつ剤)の場合,必ずしもこのアプローチが成功するとは限らない.その理由としては,第1に,TCA血中濃度とその臨床抗うつ治療効果との相関に基づく"有効血中濃度域"自体に問題あるからである.
 多くの臨床報告,臨床試験から表1に示したような"有効血中濃度域"が各TCAについて提唱されており,また各種の型の血中濃度-臨床効果関係が各薬物で報告されている(例えば,nortriptylineのcurvilinearないしはU-shapeや,imipramineのlinear型,等1,2)).しかし,各データはあいまい,かつ結論の一貫性を欠き,血中濃度モニタリングが実際に有益であるという考えを支持しないものもかなりある2).これらのデータはその臨床試験の方法に種々の相違があり,一概に比較することは難しく,また同一グループの研究でもプラシボに対する反応(placebo response)やうつ状態自身の自然緩解,等の影響を正しく評価することは容易なことではない3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら